映画『プラダを着た悪魔』シーン別 での英語学習・セリフ解説です。
なお、映画『プラダを着た悪魔』 の概要、基本情報などはご興味があれば以下の記事を参照ください。
セリフ解説:エミリーのレクチャー【電話対応の関連用語】
収録時間: 00:13:09 ~ 0:13:41
今回は、主人公アンドレアが、先輩アシスタントのエミリーから一流 ファッション雑誌『ランウェイ』での電話対応を教わるシーンです。
Answer the phone
【台詞】
Emily :
Okay. First of all, you and I answer the phones. The phone must be answered every single time it rings.
【和訳】
エミリー
『いい、まず初めに、電話はあなたと私がとるのよ。毎回鳴ったら、必ず取らなきゃダメ』
First of all:まず最初に
of all とあることからもわかるように、「何よりまず初めに」、「まず第一に」といった強調、重要であることを含意した表現です。
first を使った似た表現では、ほかに first や at first があります。( first はそのままですね…)
First:最初に
文頭にfirst を使うと、第一に、第二に、そして、その次は … と順を追って物事を話していくニュアンスになります。例えば、上のセリフで First of all を First に置き換えて
First, you and I answer the phones.
と言われたとすると、「じゃあ、電話をとったあと、2番目として何かすることがあるのかな?」と順番を自然と意識する感覚になります。
※ Firstly も First と同じ意味ですが、こちらはフォーマルな表現です。
at first :初めは
こちらは、「初めの時点では … だったけれど、でも実は ~ 」といった、その後に別の展開があるようなときに使われる表現です。First of all や First とはニュアンスが大きく違いますから誤用に注意しましょう。
At first I didn’t like her, but now I do.
初めは彼が好きじゃなかったけど、今は好きです。
answer the phone:電話に出る、電話の応対をする
「電話に出る/応対する」の一般的な表現です。他にget the phone, pick up the phone, take a phone などなどありますが、これらはかかってきた電話に応対をするというよりは、受話器・電話機を上げる、という動きの方に重点があります。
- 電話に出る、受話器を取る:
- get the phone
- pick up the phone
- take the phone
また、「電話が掛かってくる」(リンリンと着信が鳴る状態)のことは次のようになります。
- 電話が掛かってくる:
- get a call
- get called
- have a call
- receive a call
every single time:毎回毎回 … するたびに
every を single で強調した表現です。every time (毎回) を強調してevery single time で「毎回毎回 … するたびに」となるわけです。
他に single は最上級も強調します。
Motivation is the single most important factor in any sort of success.
動機づけが成功のまさに最も重量な要因だ
single : まさに、唯一の
といったニュアンスとなります。
※ single と ring が近くにあるからといって、もちろんこのセリフは「着信音の1回目で電話を取る(ワンコールで電話に出る)」という意味ではありません。
ちなみに 「着信音の1回目で電話を取る(ワンコールで電話に出る)」 は
answer the phone on the first ring:最初の着信音で電話に出る
のように on the first ring という言い回しです。
Voice mail
【台詞】
Emily :
Calls roll to voice mail, and she gets very upset. If I’m not here… Andrea, Andrea! You are chained to that desk.
【和訳】
エミリー
『留守電になると、彼女すごく怒るの。私がいないときは…、アンドレア、アンドレア! デスクから離れないで』
voice mail:ボイスメール
カタカナにしただけの意味になってしまいましたが、音声メッセージを聞くことのできる機器やシステムのことです。このセリフでは、待ち受けの音声を録った留守電のことを指しています。
Calls (主語) roll (自動詞) to voice mail
という構成の文です。直訳すると「掛かってきた電話が (Calls) 留守電に (to voice mail) 転がって行く (roll)」で、「留守電に切り替わる」という意味になります。
upset:気分を害する、狼狽する
文脈によって、上記の和訳のように「怒る」となったり、ほかに 「狼狽する」 「動揺する」といった意味になったりします。
chain:鎖でつなぐ
受動態にして、be chained to で「… にくっついて離れない」となります。
Miranda missed Lagerfeld
【台詞】
Andrea :
Well, what if I need to…?
Emily :
What? No! One time, an assistant left the desk because she sliced her hand open with a letter opener, and Miranda missed Lagerfeld just before he boarded a seventeen-hour flight to Australia. She now works at TV Guide.
【和訳】
アンドレア
『ええと、私が何か必要になったら…』
エミリー
『何? ダメよ。以前にアシスタントの子がデスクを離れたの、手をレターオープナーでざっくり切ってね。それでミランダはラガーフェルトからの電話を取れなかった。それは彼のオーストラリアへの17時間のフライト直前のことだったよ。彼女は今「TVガイド』で働いているわ』
what if:もし … ならどうする?、もし … だったらどうする?
将来に起こる可能性があること(主に好ましくないこと)や、現実には起こる可能性の低い出来事について尋ねる表現です。このセリフは前者です、また後者の場合は仮定法になります。
この場合は、what (should I do) if I need to…? とカッコ内の意味が含まれています。
sliced her hand open
SVOC 第5文型です。
動詞 (V) = sliced , 目的語 (O) = her hand , 補語 (C) = open です。
「手を切る」というだけならば、slice her hand のみで良いですが、opne = “(傷口が) 開く” の形容詞を補語でつけることで、切った傷が開いた状態になってしまうような、ある程度大きな傷であることが伝わります。
letter opener:レターオープナー
封筒を開封する器具のこと。色々と種類はあるかと思いますが、
ここでは、いわゆるペーパーナイフのことでしょう。
Miranda missed Lagerfeld
「ミランダはラガーフェルトからの電話での連絡を取り逃した」ということです。
miss someone’s call:(人)からの電話を取り逃す
Lagerfeld:
シャネル、フェンディ のデザイナーだったカール・ラガーフェルト(Karl Lagerfeld、1933年9月10日 – 2019年2月19日)のことだそうです。
調べたところによると、低迷したシャネルを復活させた人で、老舗ファッションブランドが外部デザイナーと組むという構図の先駆けとなった人。白髪ポニーテールに黒のサングラス・高い襟のシャツがトレードマーク。
TV Guide
テレビ番組について解説をする雑誌のこと。
She now works at TV Guide.
これは左遷されてしまったということでしょうね…。
Man the desk
【台詞】
Andrea :
Man the desk at all times, got it.
【和訳】
アンドレア
『デスクに張り付いているんですね。わかりました』
man: (場所・機械など) の持ち場につく、に人員を配置する
man は男性や人間といった意味のほかに、このように「持ち場につく」という意味にもなります。
また、このでは動詞から始まる命令文の語順となっていますが、エミリーからの指示を要約・復唱している表現で、少しおどけているともとれます。
got it:わかりました
(= I got it)
I got it. で「私はわかりました、理解しました」という表現になります。主語 I をこのセリフのように省略することもあります。
長くなったので、ひとまずここまでです。続きはこちらをご覧ください。
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