この記事では、ビートルズの名曲『Help!』(ヘルプ!) の歌詞を英語学習を兼ねて、解説します!
英語の洋楽を聴いていて
この歌詞はどういう意味だろう?
和訳はネットで検索すれば出てくるけれど
何故そういうニュアンスになるんだろう?
そんな風に感じたことはありませんか。
この記事を読んで、そんな疑問を解決して頂ければと思います!
概要
『Help!』
ヘルプ!
『Help!』(ヘルプ!)はイギリスのロックバンド、ビートルズ (The Beatles) の曲です。
1965年7月にリリースされ、イギリス・アメリカどちらのチャートでも1位となりました。
ビートルズと言えば、この『Help!』のメロディを思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。
日本では、テレビ東京系のバラエティー番組「開運!なんでも鑑定団」のオープニングテーマとしてもお馴染みの曲です。
作詞・作曲は”レノン=マッカートニー”と共同名義になっていますが、主にジョン・レノンによるもので、一部をポール・マッカートニーが協力して作られた曲です。
※ビートルズの活動期間中に公式に発表された曲 の約7割 (約68%) は “レノン=マッカートニー”名義
曲名『Help!』の意味の通り、「助け」を求める歌詞の内容となっており、当時 ビートルズの人気は加熱し、それに折り合いがつかず自分を見失いそうな心境を表現したものだそうです。
その「助け」は端的に、曲中の次の歌詞にも綴られています。
Help me get my feet back on the ground
僕がまた地に足がつくように助けてよ
またこの曲が、テーマ曲となった映画と、収録した初出アルバムも、同名の『Help!』で 映画とアルバムともにその邦題は『ヘルプ!4人はアイドル』です。
この邦題からもわかるように、当時ビートルズは “アイドル” として売り出されていた頃で、これらの背景をふまえて歌詞を読むのも、ひとつのとらえ方だと思います。
この記事が、名曲をもう一度、楽しむきっかけとなれば、幸いです。
以下、この記事では英語の文法を交えて歌詞を解説します。
歌詞・和訳
Lyrics
[Intro]
【歌詞】
(Help) I need somebody
(Help) Not just anybody
(Help) You know I need someone
(Help!)
【和訳】
(助けて) 誰か必要なんだ
(助けて) 誰でもいいわけじゃないんだ
(助けて) わかるだろ、僕には誰か必要なんだ
(助けて!)
[Verse1]
【歌詞】
When I was younger so much younger than today
I never needed anybody’s help in any way
But now these days are gone, I’m not so self-assured
Now I find I’ve changed my mind and opened up the doors
【和訳】
今より、若い…ずっと若かった頃は
誰からもどんな助けも全然 必要なかった
でも今では日々は過ぎ去り、そんな自信ないんだ
もう僕は変わったと気付いて、扉を開いたからさ
[Chorus]
【歌詞】
Help me if you can, I’m feeling down
And I do appreciate you being ‘round
Help me get my feet back on the ground
Won’t you please, please help me?
【和訳】
できることなら僕を助けてよ。落ち込んでるんだ
君が居てくれたことに、本当に感謝してる
僕がまた地に足がつくように助けてよ
お願いだからさ、助けてくれない?
[Verse2]
【歌詞】
And now my life has changed in oh so many ways
My independence seems to vanish in the haze
But every now and then I feel so insecure
I know that I just need you like I’ve never done before
【和訳】
もう今では僕の生活が色んな意味で変わったんだ
自立心は霞んで消え失せそうさ
でも、時折とても不安になるよ
今までにないくらい君が必要なんだ
[Chorus] >> [Verse3]
上記と同様
[Outro]
歌詞の意味・文法解説
[Intro]
(Help) I need somebody (Help) Not just anybody
(助けて) 誰か必要なんだ (助けて) 誰でもいいわけじゃないんだ
not just any:ただの(単なる)…ではない
anybody:誰でも、誰も
any は否定文で、全否定「少しも…でない」「全く…でない」となりますが、not just any … の場合には「ただの…ではない」「単なる…ではない」という意味になります。
some と any
辞書や文法書では some と any の違いは以下のように説明されます。
『some は漠然とではあるが、限られた数量が 「ある」 ことを表すのに対し、 any は 「あるかないか」 はわからない漠然とした数量を表す』
ここから踏み込んでとらえると、some は「ある」ことが前提・当然ということから「適量」「適した数」というニュアンスがあると考えられます。
この歌詞では somebody ですので「ふさわしい人物」といった含みがあるともとれます。
一方で any は 「あるかないか」 はわからないことから自由な量・数となるイメージとなり「どんな…でも」「何でも」といったニュアンスになります。
[Verse1]
When I was younger so much younger than today, I never needed anybody’s help in any way
今より、若い…ずっと若かった頃は、誰からもどんな助けも全然 必要なかった
younger のあと、so much younger と言い直しています。
曲名のように、誰かに助けを求める内容の曲です。このフレーズで言い直すことで、切迫した感じがでていると思います。
また、この曲がリリースされた当時、ビートルズの各メンバーの年齢は20代なかばに差し掛かろうとするところで、傍目から見ればまだまだ若く、”アイドル” として売り出されていた頃です。
そういった点を、踏まえて、今でも若いけれど、もっと so much younger (ずっと若い) と、言い直しているとみるのも、ひとつのとらえ方だと思います。
後半は否定文 (never) と any の組合せで全否定となっており、さらに any は2箇所で使われて「誰からも (anybody’s)」「どんな方法でも (in any way)」と重ねることで、強く否定しています。
Now I find I’ve changed my mind and opened up the doors
もう僕は変わったと気付いて、扉を開いたからさ
Now (that):今やもう…だから
now that は何らかの変化があり、新しい状況の結果や理由を説明するときに用いられます。
because に置き換えることもできます。
口語では that が省略されることがあります。
このフレーズでも that が省略されて、上記の now that の用例を当てはめることができ、that節は the doors までで、次のフレーズ [Chorus] の Help me if you can に繋がると解釈できます。
つまり、ひと続きにすると以下です。
Now (that) I find I’ve changed my mind and opened up the doors, help me if you can
もう僕は変わったと気付いて、扉を開いたからさ、できることなら僕を助けてよ
[Chorus]
And I do appreciate you being ‘round
君が居てくれたことに、本当に感謝してる
do:本当に、確かに
肯定文で、その内容が事実であることを強調するために動詞の前に do を置きます。
(三単現ならば does、過去ならば did)
「強調のdo」などと呼ばれる用法です。
なお、do を置かずに動詞にアクセント (強勢) をつけて発音すると 次の例文のように、動詞の意味を強調することになります。
ついでながら、一方で、動詞の程度を強調するならば 以下の例文のようなものがあります。
さて、この曲の歌詞に振返って…
上記のように、このフレーズは 「強調のdo」 で 事実であることを強調していますので少し大袈裟に訳せば
I do appreciate you being ‘round
(感謝していないなんてことはない) 確かに君がいてくれて感謝している、ホントさ
のようなニュアンスです。
Help me get my feet back on the ground
僕がまた地に足がつくように助けてよ
動詞が get ではないですが以下のような熟語があり、このフレーズも同様の意味合いと考えることができます。
have (keep) one’s feet on the ground:
地に足がついている、分別のある行動をする、現実的である
この曲のリリース時、ビートルズは活動開始してから5年ほど。
急激に人気を得て、スーパースターとなり成功を収めていく中で、ジョン・レノンは後に、次のように当時を語っていたそうです。
The whole Beatles thing was just beyond comprehension. I was subconsciously crying out for help.
I was fat and depressed, and I was crying out for help.
(参照元)
【訳】ビートルズにまつわることは理解を超えていた。僕は無意識に助けを求めて叫んでいた。太って落ち込み、助けを求めて叫んでいたんだ。
(ビートルズの歌詞集「The Beatles Lyrics: The Stories Behind the Music」でも同様のことが述べられています)
ビートルズほどではないにせよ、大きな変化が訪れたときに、このフレーズのようにふと、地に足をつけて落ち着きたい、と思うことってありますよね。
help A (to) do: A (人) が … するのを助ける
help は、目的語のあとに 不定詞 でも 動詞の原形 をそのまま置いても、どちらでもよいです。
このフレーズでは 後者で、不定詞 to をつけずに 動詞の原形が置かれています。
Won’t you please, please help me?
お願いだからさ、助けてくれない?
Won’t you … ?:… してくれませんか
人に何かを依頼するときの表現の一つですが、相手が当然してくれることを期待した言い方です。
please を付けていますが、丁寧というよりは懇願しているようなニュアンスでしょう。
否定疑問文
否定形の疑問文を否定疑問文と呼びます。
このフレーズの Won’t you … ? も 否定疑問文の一種です。
否定疑問文は、意外な気持ちを表したり、相手に確認をするときなどに、使われます。
上の例文は、泳げると思っていたけれど、泳げないという、意外な気持ち、驚きが表されたニュアンスです。
これは、「当然知っているはずなのに」という気持ちを表していると捉えられます。
この例文の場合、自分の靴について、相手の同意を求めて「いいでしょう?」と確認しています。
上記のフレーズの Won’t you …? についても同様で、相手が同意することが前提で、上述のように、相手が当然「助け」てくれることを期待した依頼の表現となります。
なれなれしかったり、状況によって命令調に響く言い方ですが、そこは人気絶大な”アイドル”のビートルズならば、むしろ言われて嬉しいというものでしょう (…?)。
[Verse2]
My independence seems to vanish in the haze
自立心は霞んで消え失せそうさ
seem to:… のように見える、思われる
vanish:(突然・不可解に) 消える
haze:霞、もや
なお、seem to have 過去分詞 … とすると述語動詞 (seem) が表す時よりも以前の事となります。
このフレーズのように seem to vanish (不定詞 to + 動詞原形) ですと、その時点での様子を表しています。
But every now and then I feel so insecure
でも、時折とても不安になるよ
every now and then:時々、時折
insecure:不安な、不安定な
以上です。
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