この記事では、レディー・ガガのヒット曲『Poker Face』(ポーカー・フェイス) の歌詞を英語学習を兼ねて、解説します!
英語の洋楽を聴いていて
この歌詞はどういう意味だろう?
和訳はネットで検索すれば出てくるけれど
何故そういうニュアンスになるんだろう?
そんな風に感じたことはありませんか。
この記事を読んで、そんな疑問を解決して頂ければと思います!
概要
『Poker Face』
ポーカー・フェイス
『Poker Face』(ポーカー・フェイス)はアメリカのシンガーソングライター レディー・ガガ (Lady Gaga) の曲のです。
2008年9月にリリースされ、世界17カ国のチャートで1位となりました。
アップテンポなダンスソングで、歌詞はトランプのポーカーと、恋愛の駆け引きを重ね合わせており、性的な暗示が含まれています。
ガガの個人的なバイセクシャルな経験がこの曲の歌詞の背景にあるそうです。曲中には性的なほのめかしが各所に散りばめられており、成人向けの内容です。
曲名『Poker Face』は “内心を隠し装う無表情” のことで、この曲では主人公である女性が、一緒にいる男性に対して、本心を装う表情のことを指しています。(詳しくはこちら)
この記事が、あらためてこの曲を楽しむきっかけになれば幸いです。
以下、この記事では英語の文法を交えて歌詞を解説します。
歌詞・和訳
Lyrics
[Intro]
【歌詞】
Mum mum mum mah
Mum mum mum mah
Mum mum mum mah
Mum mum mum mah
Mum mum mum mah
[Verse1]
【歌詞】
I wanna hold ‘em like they do in Texas, please (Woo)
Fold ‘em, let ‘em hit me, raise it, baby, stay with me (I love it)
LoveGame intuition, play the cards with spades to start
And after he‘s been hooked, I’ll play the one that’s on his heart
【和訳】
テキサスでしてるように彼(女)達を捕まえておきたいの
誰かを降ろして、私を狙わせ、賭金を吊り上げる、さあ、駆引きを続けましょう (コレ大好き)
ラブゲームの直感、まずはスペードに狙いを付ける
彼を夢中にさせて、あとは彼のハートと駆引き
[Pre-Chorus]
【歌詞】
Oh, woah-oh, oh, oh
Oh-oh-oh-oh-oh-oh
I’ll get him hot, show him what I’ve got
(x2)
【和訳】
彼をその気にさせて、私の全てを見せてあげるの
(x2)
[Chorus]
【歌詞】
Can’t read my, can’t read my
No, he can’t read my poker face
(She’s got me like nobody)
(x2)
【和訳】
読めない、読めないわ
そう、彼に私のポーカーフェイスは読めないわ
(彼女にやられちまったよ、こんなの初めてさ)
(x2)
[Post-Chorus]
【歌詞】
P-p-p-poker face, p-p-poker face
(Mum mum mum mah)
(x2)
【和訳】
ポ、ポ、ポ、ポーカーフェイス、ポ、ポ、ポーカーフェイス
(x2)
[Verse2]
【歌詞】
I wanna roll with him, a hard pair we will be (Woo)
A little gamblin’ is fun when you’re with me (I love it, woo)
Russian roulette is not the same without a gun
And baby, when it’s love, if it’s not rough, it isn’t fun, fun
【和訳】
彼と一緒に転げ回りたい、素敵なペアになるわ
私と一緒なら、ちょっとしたギャンブルも楽しいわよ (コレ大好き)
銃がなければロシアンルーレットは物足りない
愛も荒々しくなくちゃつまらない
[Pre-Chorus] >> [Chorus] >> [Post-Chorus]
上記と同様
[Bridge]
【歌詞】
I won’t tell you that I love you
Kiss or hug you
‘Cause I’m bluffin‘ with my muffin
I’m not lyin’, I’m just stunnin’ with my love-glue-gunnin’
Just like a chick in the casino
Take your bank before I pay you out
I promise this, promise this
Check this hand ‘cause I’m marvelous
【和訳】
愛してるなんて言わない
キスもハグもしない
だって私の”マフィン”で騙せるから
嘘じゃない、”愛のグルーガン”でうっとりさせてるだけ
まるでカジノにきた若い娘みたいに
貴方は銀行に駆け込むことになるわ、私が損する前にね
本当よ、本当なのよ
この手札を見てよ、私凄いんだから
[Chorus] ×3 >> [Post-Chorus] ×3
上記と同様
歌詞の意味・文法解説
[Verse1]
I wanna hold ‘em like they do in Texas, please
テキサスでしてるように彼(女)達を捕まえておきたいの
hold ‘em:
hold them (それらを捕まる、抱きしめる) の略ですが、ここではポーカーの一種である テキサスホールデム(Texas Hold ‘em)と恋愛の駆引きを掛けています。
ガガはこの曲のテーマはバイセクシャルだと言っています。
ですので、このフレーズの them は男性だけでなく、女性も含まれると思いますので、上記の和訳では “彼(女)達” としています。
Texas Hold ‘em:テキサスホールデム
テキサスホールデムは前述の通り、ポーカーの一種で、アメリカのカジノで最も人気のあるゲームの1つです。
日本で一般的な5枚のカードが配られるポーカーと違い、プレイヤーには2枚しか配られず、その2枚とは別に、全プレイヤーが共通して使える5枚のカードが場に出て、各プレイヤーは合計7枚のカードの内、5枚のカードでの役により勝負するタイプのポーカー。
2006年公開の映画「007 カジノロワイヤル」等でもテキサスホールデムのシーンが登場します。
“Hold ‘em” という名前の由来は、19 世紀の 50 年代のポーカーの人気バージョンからきている等、諸説あるようですが詳しくはわかっていないようです。
(参照)
Fold ‘em, let ‘em hit me, raise it, baby, stay with me (I love it)
誰かを降ろして、私を狙わせ、賭金を吊り上げる、さあ、駆引きを続けましょう (コレ大好き)
ポーカー用語 としてはそれぞれ、以下の意味になります。
fold:ゲームから降りる
hit:自分の手札と場のカードでペア・役を作る
raise:賭金を上乗せする
stay:降りずにゲームに残る
このフレーズの内容は、様々に解釈できそうですが、恐らく複数の対戦相手 (恋愛対象) の内で、誰かを何らかの手段でゲームから降ろさせて、他の誰かと値 (自分の価値) を吊り上げながら、勝負をする…、といったことかと思います。
LoveGame intuition, play the cards with spades to start
ラブゲームの直感、まずはスペードに狙いを付ける
intuition:直感
play the cards は「カードを使う / トランプをする」という意味で、前置詞 with は「… と一緒に / を使って」ですので、このフレーズの後半を直訳すると「(ゲームを) 始めるためにスペードのカードを使う」⇒「まずはスペードのカードを使う」です。
ここからは想像を膨らませるしかありませんが、spades (スペードの複数形) ですのでスペードのペアが既にあるのか、それとも、これからスペードを揃えようとしているのかもしれませんね。
いずれにせよスペードを使って役を作って、勝負をしようとしていると思われるため、上記の和訳のようにしました。
また、スペードはどちらかと言えば、男性を連想させるマークですから、上述のバイセクシャルについてを考慮に入れれば、恋愛対象として女性ではなく男性に狙いをつけた、のようにも捉えられます。
実際、次のフレーズでは主語が he に変わっています。
And after he‘s been hooked, I’ll play the one that’s on his heart
彼を夢中にさせて、あとは彼のハートと駆引き
前のフレーズでの解説のように、ここで主語が he “彼” に変わっています。
hooked:…に夢中になって
hook は「(フックで) つるす、引っかける」という意味で、そこから派生して、「夢中にさせる」となります。ここでは受け身で形容詞となっています。
[Pre-Chorus]
I’ll get him hot, show him what I’ve got
彼をその気にさせて、私の全てを見せてあげるの
hot:性的に興奮して
hot は「熱い / 辛い」のほかに、「性的に興奮して / 欲情して」という意味もあります。
前半は、第5文型 SVOCの文で、補語 (C) は 目的語 (O) を説明していて、O=C の関係となっています。(代名詞 him が目的語 (O) 、形容詞 hot が 補語 (C) )
what:(…する) もの [こと] は何でも
このフレーズの後半の what は関係代名詞で「(…する)もの / こと」という意味ですが、文脈によっては「(…する) もの [こと] は何でも」という意味になります。(= whatever = anything that )
[Chorus]
No, he can’t read my poker face
そう、彼に私のポーカーフェイスは読めないわ
poker face:ポーカーフェイス、無表情な顔
ポーカーフェイスは、ご存知の通り、ポーカーをするときに手札について悟られまいと無表情を装うことからきた言葉で、内心を巧みに隠して装う無表情な顔つきのことです。
この曲の歌詞からだけでは読み解くことは難しいですが、ガガはカリフォルニアでのライブでこの曲での “poker face” の意味について語っています。
それによると、ガガのバイセクシャルな個人的な経験から着想を得ており、この曲に登場する女性は、ボーイフレンドと親密な関係をもちながらも実はほかの女性について夢想しているそうで、彼が相手を理解すためには、彼女の “poker face” を読む必要があるのだそうです。
でも、このフレーズの歌詞にあるように彼は、彼女の “poker face” を読むことはできないわけです。
女性側が一枚上手の恋の駆け引きですが、意中の人はいるけれど、別の気になる男性にも好かれたいという女心も見え隠れしていますね。
She’s got me like nobody
彼女にやられちまったよ、こんなの初めてさ
get:… をだます、魅惑する
get は文脈によって様々な意味になりますが、このフレーズでは上記の「… をだます / 魅惑する」というニュアンスが適当でしょう。
like nobody は直訳すれば「誰でもないように」ですので、他の誰も今までにしたことないように彼女にやられてしまった、というこですが、上記の和訳では意訳しています。
[Verse2]
I wanna roll with him, a hard pair we will be
彼と一緒に転げ回りたい、素敵なペアになるわ
roll:転がる
roll はサイコロを「振る」という意味にもなります。
カジノでサイコロを使うメジャーなゲームに クラップス (Craps) というものがありますが、このクラップスでは2つ (pair) のサイコロの目が揃ってゾロ目になることを ハードフォー (Hard four / 2のゾロ目)、ハードシックス (Hard six / 3のゾロ目)…、と言います。
この歌詞での hard pair は、上記のクラップスのようなポーカー以外のカジノゲームの言葉も意識したものとも推測されます。
Russian roulette is not the same without a gun
銃がなければロシアンルーレットは物足りない
not the same without:…がいないと物足りない
直訳すると「…がないと同じではない」ですが、通例 without の後に人を指す名詞がきて、上記のように「…がいないと物足りない」や「…がいないと全く違う状態になる」という意味になります。
ここでは without の後に gun “銃” が続きますが同様です。
[Bridge]
‘Cause I’m bluffin‘ with my muffin
だって私の”マフィン”で騙せるから
こちらもポーカー用語です。
bluff:ブラフをかける
bluff は「騙す、ハッタリをかける」の意味で、ポーカーにおいて具体的には自分の手札の強さを相手に見誤らせる行為のことです。
例えば、自分が弱い手札なのに賭金を吊り上げ、強い手札を持っていると勘違いさせて、相手をゲームから降ろさせる (fold) といったことが ブラフ (bluff) にあたります。
この曲では恋愛に重ね合わせて歌詞が綴られていますから、相手に見誤らせる対象は自分の相手への愛情とも考えられます。
muffin はお菓子の「マフィン」ですが、ガガによると「女性器」を意味しているそうです。
ですので、このフレーズの意味は「性行為によって相手への愛情の強さを見誤らせている」ということと考えられます。
このフレーズについて雑誌の記者に問われて、ガガ本人曰く
It’s my pussy’s poker face!
(Wikipedia)
それは私のアソコのポーカーフェイスよ!
とのことです。
I’m not lyin’, I’m just stunnin‘ with my love-glue-gunnin’
嘘じゃない、”愛のグルーガン”でうっとりさせてるだけ
stunning:とても魅力的な、気絶するほど美しい
love-glue-gunning:
この曲独特の造語。
glue-gun 「グルーガン」は銃の形をした接着剤器具のことで、DIYや手芸などで用いられる接着剤 (glue) を噴出する道具です。この glue-gun を動詞と見立てて進行形にし、頭に love を付けています。また、glue には「ねばねばしたもの」という意味もあります。
こちらも性的な婉曲表現でしょう。
Just like a chick in the casino
まるでカジノにきた若い娘みたいに
chick:若い女性、かわいこちゃん
chick は「ひよこ、ひな鳥」という意味ですが、くだけて上記の意味にもなります。主に男性が用いて場合によって侮蔑的なニュアンスにもなります。
以上です。
コメント