この記事では、マライア・キャリーの名曲『Hero』(ヒーロー) の歌詞を英語学習を兼ねて、解説します!
英語の洋楽を聴いていて
この歌詞はどういう意味だろう?
和訳はネットで検索すれば出てくるけれど
何故そういうニュアンスになるんだろう?
そんな風に感じたことはありませんか。
この記事を読んで、そんな疑問を解決して頂ければと思います!
概要
『Hero』
ヒーロー
『Hero』(ヒーロー)はアメリカのシンガーソングライターの マライア・キャリー (Mariah Carey) の代表曲の1つで、1993年にリリースされました。
作詞・作曲・プロデュースをマライア・キャリーとウォルター・アファナシェフが共同で行っています。
ウォルター・アファナシェフはアメリカの音楽プロデューサー・ソングライターで、マライア・キャリーの『All I Want for Christmas Is You』(邦題:恋人たちのクリスマス) やセリーヌ・ディオンの『My Heart Will Go On』 (映画『タイタニック』の主題歌) なども手掛けています。
この曲は、当初は映画『靴をなくした天使』(原題:Hero) のサウンドトラックとして書かれた曲でしたが、出来あがった曲の素晴らしさから、周囲に説得され、映画と関係なくマライア自身の曲として発表する事になったそうです。
歌詞の内容は、「誰しも自分の心の中を覗けば強いヒーローがいる。だから、頑張って」と聞き手を励まし・応援するものとなっています。
多くの人に支持されてきた曲ですが、この記事を読んで、再び味わい直してみてはいかがでしょう。
以下、この記事では英語の文法を交えて歌詞を解説します。
歌詞・和訳
Lyrics
[Verse1]
【歌詞】
There’s a hero if you look inside your heart
You don’t have to be afraid of what you are
There’s an answer if you reach into your soul
And the sorrow that you know will melt away
【和訳】
あなたの心の中を覗くと、ヒーローがいるわ
今の自分自身を恐れる必要なんてない
あなたの魂に手を伸ばせば、答えがあるわ
すると、悲しみは消えていくのよ
[Chorus]
【歌詞】
And then a hero comes along
With the strength to carry on
And you cast your fears aside
And you know you can survive
So when you feel like hope is gone
Look inside you and be strong
And you’ll finally see the truth
That a hero lies in you
【和訳】
そして、ヒーローがやってくる
やり遂げる力と共にね
あなたは、恐れを振り払い
生き抜いていけると分かるわ
だから、希望を失ったと感じたら
自分の心を見つめて、強くなるのよ
そうすれば、真実に遂に気付く
ヒーローはあなたの中にいるの
[Verse2]
【歌詞】
It’s a long road
When you face the world alone
No one reaches out a hand for you to hold
You can find love
If you search within yourself
And the emptiness you felt will disappear
【和訳】
それは長い道のり
たった一人で世界に立ち向かう時
誰一人、あなたを支えようと手を差しのべやしない
愛は見つかるの
自分自身の心の中を探し求めればね
すると、あなたが感じていた虚しさは消えていくのよ
[Chorus]
上記と同様
[Bridge]
【歌詞】
Lord knows
Dreams are hard to follow
But don’t let anyone tear them away
Hold on
There will be tomorrow
In time, you’ll find the way
【和訳】
神様は知っている
夢を追うのは難しい
でも、誰にも夢を奪われてはいけない
頑張って
明日は来るわ
やがて、あなたが進む先が見つかる
[Chorus]
上記と同様
歌詞の意味・文法解説
[Verse1]
There’s a hero if you look inside your heart
あなたの心の中を覗くと、ヒーローがいるわ
hero:ヒーロー、英雄
早速、曲名でもある hero を含んだフレーズです。
もちろん hero は上記の意味ですが、その直前におかれている不定冠詞 a にも着目しましょう。
不定冠詞 a は、不特定の1つ (単数) のものを表します。
ここでは、スーパーマン、ウルトラマン … etc. といった 世の中には既に知られているヒーロー・英雄がいますが、そのどれとも特定していない、いわば、 “とあるヒーロー” ということです。
この曲では、以降の歌詞でも 常に hero の前には不定冠詞 a がつけられています。
つまり、この曲では、それぞれの人の中に様々な hero がいて、ほかの誰かが特定できないようなものとして、表現されていると考えられます。
You don’t have to be afraid of what you are
今の自分自身を恐れる必要なんてない
what S is:現在のS
what を使った慣用表現です。
上記の is の箇所は主語 S によって am になったり are になったりします。
このフレーズでは主語 you ですので what you are となっています。
また what S was (used to be) ならば「かつてのS /昔のS」という意味になります。
And the sorrow that you know will melt away
すると、悲しみは消えていくのよ
sorrow:悲しみ
「悲しみ」の意味の単語はいくつかありますが sorrow は不幸や死などによる深い悲しみを表します。
sorrow を含めて、ほかに「悲しみ」の表現は以下のようなものがあります。
sadness:悲しみを意味する最も一般的な表現
sorrow:不幸や死などによる深い悲しみ
grief:強烈で短期間の深い悲しみ、特に人の死による
melt away:溶けてなくなる、徐々に消える
[Chorus]
And then a hero comes along with the strength to carry on
そして、ヒーローがやってくる、やり遂げる力と共にね
come along:(人・機会などがいつしか) やってくる、現れる
carry on:(途中であきらめずに) 続ける
the strength 以降を直訳すると
the strength to carry on
(途中であきらめずに) 続けるための力
となり、これを意訳すると、上記の和訳「やり遂げる力」となります。
And you cast your fears aside, and you know you can survive
あなたは、恐れを振り払い、生き抜いていけると分かるわ
cast aside:(不安など) を振り払う、投げ捨てる
cast は「投げる」aside は「わきに、横に」という意味です。
そのままつなげて訳せば「…をわきに投げる」ですが、cast aside は「(もう不要なもの) を捨てる」という意味や、上記のように「(不安など) を振り払う」の意味にもなります。
Look inside you and be strong, and you’ll finally see the truth that a hero lies in you
自分の心を見つめて、強くなるのよ。そうすれば、真実に遂に気付く、ヒーローはあなたの中にいるの
Look から strong までが命令文で、2つあります。
命令文①
Look inside you
自分の心 (内側) を見つめなさい
命令文②
Be strong
強くなりなさい
命令文のあとに and が続くと「〜しなさい、そうすれば…」という意味です。
命令文, and … :〜しなさい、そうすれば…
このフレーズでは、命令文2つも and で結ばれていて、次のような構造の文です。
命令文① and 命令文②, and …
① なおかつ ② をしなさい、そうすれば…
同格の that 節
このフレーズの that 以降 (that 節) はその前の truth の内容を説明しています。
この that 節は名詞の役割をしています (名詞節)。
ですので、the truth (名詞) と that a hero lies in you (名詞節) で名詞の働きをする語句が2つ並んでいます。
このような、名詞の働きをする語句が2つ並んで、後ろの語句が前の語句の、言い換え、補足・内容説明などになっている場合、後ろの語句は前の語句の「同格」である、といいます。
同格の that は直訳すると「…という…」のように訳せます。
直訳すると以下です。
the truth that a hero lies in you
ヒーローがあなたの中にいる、という真実
※歌詞の切れ目の関係上、上記の和訳では途中で区切っています。
どのような名詞に対しても、このような同格の that 節が使えるわけではないですが、このフレーズの truth 「真実」のような抽象的な意味の名詞であることが多いです。
もっと詳細に知りたい方は、文法書をご参照下さい。
lie の語感
lie:存在する、横たわる
lie は元々は「横たわる」という意味で、そこから広がり「存在する」という意味にもなります。
また lie は、以下の例文のような、色々なニュアンスがあります。
このような lie の語感から、この曲での hero のイメージが改めて掴めます。
人の心の中に眠っている元来の強さのようなものを hero と呼んでいる、とも考えられます。
lie の用例
用例①「横になる、横たわる」
※lay は lie の過去形
用例②「(原因・力・本質などが) …にある、存在する」
用例③「使われないでいる、知られないでいる」
[Verse2]
No one reaches out a hand for you to hold
誰一人、あなたを支えようと手を差しのべやしない
reach:(人が) 手を差しだす、手を伸ばす
reach は「届く」「到着する」という意味で覚えている方も多いと思いますが、上記の和訳のように「手を差しだす」という意味があります。
そもそも reach の原義は「(手など) を差しだす」です。
※ 原義:もともとの意味
reach は続く副詞によって、たとえば以下のような意味合いになります。
reach out:手を差しだす
reach into:手を差し入れる
reach into はこの曲の [Verse1] でも使われていますね。
なお、このフレーズでは a hand と “手” が目的語として明示されていますが、reach だけでも「”手” を差しだす・伸ばす」というこです。
[Bridge]
But don’t let anyone tear them away
でも、誰にも夢を奪われてはいけない
let + 人 + 動詞の原形:(人) に … させる
tear away:(無理に) … を引き離す
このフレーズの let は使役動詞とよばれるものです。
使役動詞 は let のほかに make, have などがあり、上記のようどれも、「(人) に … させる」という意味になります。
let は「許す・許可する」を含意した「させる」です。
これらを踏まえてこのフレーズを直訳すると以下です。
But don’t let anyone tear them away
でも、誰かにそれらを無理に引き離すことを許してはいけない
them は直前の歌詞 Dreams are hard to follow 「夢を追うのは難しい」の Dreams を them と解釈して意訳したのが、上記の和訳です。
In time, you’ll find the way
やがて、あなたが進む先が見つかる
in time:そのうちに、やがて
way:(進むべき将来の) 方向、(選択すべき) 進路
way は「道・方法」ですが、比喩的に将来進むべき方向・進路、という意味もあります。
以上です。
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