この記事では、クイーンの名曲『We Are the Champions』(邦題:伝説のチャンピオン) の歌詞を英語学習を兼ねて、解説します!
英語の洋楽を聴いていて
この歌詞はどういう意味だろう?
和訳はネットで検索すれば出てくるけれど
何故そういうニュアンスになるんだろう?
そんな風に感じたことはありませんか。
この記事を読んで、そんな疑問を解決して頂ければと思います!
概要
『We Are the Champions』
伝説のチャンピオン
『We Are the Champions』はイギリスのロックバンド クイーン (Queen) の曲のです。
邦題は『伝説のチャンピオン』ですが、原題にあわせて『ウィー・アー・ザ・チャンピオンズ』と呼ばれることもあります。
1977年にリリースされ、彼らの6枚目のアルバム『世界に捧ぐ』(News Of The World) に収録されています。
当初は同年に先行シングルとしての発売で、『We Are the Champions』と『We Will Rock You』が収録されており、大ヒットとなりました (全英最高2位、全米最高4位、カナダ3位)。
曲名の意味は、そのまま「俺達はチャンピオンだ」です (詳しい解説はこちら)。
この曲名や歌詞の内容から、サッカーをはじめスポーツイベントなどで勝利を讃える曲として、今でも用いられることがあります。
もうリリースから半世紀ほどが経っていますが、名曲は色褪せないですね。
この記事が、名曲をあらためて楽しむきっかけになれば幸いです。
以下、この記事では語学の学習として英文法を交えて歌詞を解説します。
歌詞・和訳
Lyrics
[Verse1]
【歌詞】
I’ve paid my dues
Time after time
I‘ve done my sentence
But committed no crime
And bad mistakes
I’ve made a few
【和訳】
やるべきことはしてきたさ
幾度も幾度も
罰を受けた
でも罪は何も犯しちゃいない
ただ酷い過ちは
いくつか犯しはした
[Pre-Chorus1]
【歌詞】
I’ve had my share of sand kicked in my face
But I’ve come through
(And I need to go on and on, and on, and on)
【和訳】
顔に砂を蹴って掛けられることもよくあった
だが、俺は乗り越えてきたんだ
(もっと、もっと、進み続けなければならない)
[Chorus]
【歌詞】
We are the champions, my friends
And we’ll keep on fighting till the end
We are the champions
We are the champions
No time for losers
‘Cause we are the champions
Of the world
【和訳】
俺達はチャンピオンだ、友よ
そして、最後まで戦い抜くんだ
俺達はチャンピオン、
俺達はチャンピオンなんだ
敗者を相手にしている時間はない
俺達は世界のチャンピオンなのだから
[Verse2]
【歌詞】
I’ve taken my bows
And my curtain calls
You brought me fame and fortune and everything that goes with it
I thank you all
But it’s been no bed of roses
No pleasure cruise
【和訳】
今迄、拍手にお辞儀で応え
カーテンコールも受けてきた
お前達は名声や富、それに伴う全てを俺にくれた
みんな、有難う
だが、それは薔薇のベッドや
船旅を楽しむ生活などじゃなかった
[Pre-Chorus2]
【歌詞】
I consider it a challenge before the whole human race
And I ain’t gonna lose
(And I need to go on and on, and on, and on)
【和訳】
これは全人類に対する挑戦なのだと思う
俺は負けたりしない
(もっと、もっと、進み続けなければならない)
[Chorus] >> [Outro]
上記と同様
歌詞の意味・文法解説
[Verse1]
I’ve paid my dues
やるべきことはしてきたさ
pay one’s dues:やるべきことをやる
due は「支払われるべきもの、会費」という意味があり、それを支払う (pay) ので、「会費を払う」という意味や、上記の「やるべきことをやる」のようになります。
また、そこから pay one’s dues には「(苦労して) 地位を得る」や「報いを受ける」といった意味合いにもなり、以降の歌詞の展開を示唆する歌い出しです。
I‘ve done my sentence, but committed no crime, and bad mistakes I’ve made a few
罰を受けた、でも罪は何も犯しちゃいない、ただ酷い過ちはいくつか犯しはした
sentence:刑罰、判決、文
have done には「…を終える (= finish)」、do のみでも「…を遂行する、果たす」という意味があります。
ですので、慣用的な表現ではないですが、このフレーズの出だしの have done my sentence は「刑期を終えた」という意味になり、それを意訳したのが上記の和訳です。
似た表現で以下があります。
finish one’s sentence:刑期を終える、話を終える
serve one’s sentence:刑期を務め上げる
commit (a) crime:犯罪を犯す
このフレーズの後半にある bad mistakes I’ve made a few の箇所は、 強調するために bad mistakes が先頭となって語順が変わっています。
これは直前の crime と bad mistakes とを対比して「罪は犯してはいない、ただし一方で、酷い過ちは犯した」と言いたい為と考えられます。
[Pre-Chorus1]
I’ve had my share of sand kicked in my face
顔に砂を蹴って掛けられることもよくあった
share は「割り当て、分担」の意味で、have my share of … を直訳すると「…という自分の割り当てを持っている」です。
sand (砂) はあとに続く kicked … の過去分詞に修飾されてこのフレーズ全体を単語の意味の通りに直訳すると以下です。
I’ve had my share of sand kicked in my face
顔に蹴られた砂の割り当てを持っていた
このままでは、何のことかわかりませんね。
以下の熟語があります。
have one’s (fair) share of …:(嫌なことなど) がありすぎる (参照)
この熟語で言う share (割り当て) は普通以上でかなりの量であること、そして、嫌なことや良くないことを指すことが多く、これらを踏まえて上記の和訳になります。
[Chorus]
We are the champions, my friends
俺達はチャンピオンだ、友よ
曲名となっているフレーズです。
ここで初めて一人称の主語が I (俺・私)から We (俺達・私達)となり、単数から複数に変わります。
末尾の呼びかけからも分かるように、We は my friends (友人・仲間) を指しています。
champion:チャンピオン、優勝者 (チーム)
続くフレーズでは the champions of the world (世界のチャンピオン) と綴られており、自分たちは世界一だと思い上がっているのではないかと、批判され、ブライアン・メイ(クイーンのギタリスト) は「この曲は自分たちをチャンピオンだと歌っているのではなく、世界中の一人ひとりがチャンピオンなのだと歌っている」と反論したそうです。(参照)
一方で、聴衆の参加を念頭に置いてこの曲は書かれ、We は一緒に歌う聴衆ひとりひとりを指していると、フレディ・マーキュリー (クイーンのボーカル) は述べ、ブライアン・メイはこの曲を「団結的で前向きな曲」と評してもいたそうです。(参照)
[Verse2] ~ [Pre-Chorus2] の内容をみても、クイーンという演奏者としての経験になぞらえながらも、a challenge before the whole human race (全人類に対する挑戦) といった壮大な観点に飛躍することで、幅広い聴衆や聞き手を巻き込むように意図された歌詞と思います。
このような点や、[Verse1] ~ [Pre-Chorus1]での辛いことを乗り越えてきたという歌詞の展開も含め、上記の概要で触れたようにスポーツイベントなどで、この曲が好んで使用されるのも頷けますね。
No time for losers, ‘cause we are the champions of the world
敗者を相手にしている時間はない、俺達は世界のチャンピオンなのだから
(there is) no time for:…のための時間がない
loser:敗者
[Verse2]
I’ve taken my bows and my curtain calls
今迄、拍手にお辞儀で応え、カーテンコールも受けてきた
take a bow:(舞台で拍手喝采に) お辞儀で応える
curtain call:カーテンコール
カーテンコールはコンサート等の終幕後に、観客の拍手で、出演者が呼び戻されて、挨拶をすることです。
(因みに、出演者が呼び戻されて、追加演奏をするのが アンコール です)
歌っているのは有名なロックバンドのクイーンですから、当然、今までの自分達の体験をそのまま描写したのが、このフレーズと捉えるのが自然でしょう。
You brought me fame and fortune and everything that goes with it
お前達は名声や富、それに伴う全てを俺にくれた
You は 俺・私 (単数) ではなく、俺達・私達 (複数) と考えることができます。
なぜなら、直後のフレーズで I thank you all (みんな、有難う) と言っているからです。
fame:名声
fortune:富、財産、幸運
go with :…に伴う、付属する
go with は直訳すると「一緒に行く」ですが、そこから派生して上記のように「…に伴う、付属する」の意味になります。
everything (全てのもの) は that 以下の関係代名詞節で修飾されています。
everything that goes with it
それに伴う全てのもの
ここで 代名詞 it は文脈から fame and fortune (名声や富) を指すと考えられます。
等位接続詞 and で結ばれている場合には、基本的には複数の扱いになるので、fame and fortune (名声や富) もふつうは複数と扱います。
それなら 代名詞は it ではなく them のはずです。
しかし、例外があり、and で結ばれていても、同じまとまった1つのものを指す場合には単数の扱いとなるというものです。
このフレーズでもその例外があてはまり、fame and fortune (名声や富) をひとまとめと捉えていると考えられます。
楽曲のリズム上の都合でそうしているのかもしれませんね。
But it’s been no bed of roses, no pleasure cruise
だが、それは薔薇のベッドや、船旅を楽しむ生活などじゃなかった
bed of roses:バラを敷き詰めたベッド、安楽な生活
bed of roses はそのまま訳せば「薔薇のベッド」ですが、比喩で「安楽な生活 (境遇)」のたとえとして使われる表現です。(参照)
pleasure cruise はそのまま訳すと「遊覧航海」などですが、こちらも bed of roses ほど慣用的ではないにせよ、「楽しい・満足のいく経験」のたとえとして使われるようです。(参照)
ですので、このフレーズは「(名声と富を得たけれど) そんなに良いものじゃなかった」ということを、英語圏でよくある言い回しで表現したものです。
[Pre-Chorus2]
I consider it a challenge before the whole human race
これは全人類に対する挑戦なのだと思う
consider 目的語 + 補語: (目的語) を (補語) だと見なす、考える
いわゆる第5文型 SVOCの文です。
第5文型では、補語 (C) は 目的語 (O) を説明していて、O=C の関係となっています。
ここでは 代名詞 it が目的語 (O) 、a challenge が 補語 (C) です。
before:… に直面して、…の前に存在して
before は「…の前に」という意味合いですが、派生して、何らかの仕事や状況などに「直面して」というニュアンスや、人が取り組むべきことや前途が「…の前に存在して」という意味にもなります。
以上のことから、このフレーズは上記の和訳となります。
このフレーズにある 代名詞 it は、文脈から、 [Verse2] の「(名声と富を得たけれど) そんなに良いものじゃなかった」という、自分達 (クイーン) の経験にとどまらず、それをある種の一般論に昇華した普遍的な事柄を指していると推測できます。a challenge before the whole human race (全人類に対する挑戦) ですからね。
以上です。
コメント