この記事では、バックストリート・ボーイズの『I Want It That Way』の歌詞を英語学習を兼ねて、解説します!
英語の洋楽を聴いていて
この歌詞はどういう意味だろう?
和訳はネットで検索すれば出てくるけれど
何故そういうニュアンスになるんだろう?
そんな風に感じたことはありませんか。
この記事を読んで、そんな疑問を解決して頂ければと思います!
概要
『I Want It That Way』
アイ・ウォント・イット・ザット・ウェイ
『I Want It That Way』 (アイ・ウォント・イット・ザット・ウェイ)はアメリカの男性グループ、バックストリート・ボーイズ (Backstreet Boys) の曲です。
アルバム『ミレニアム』の先行シングルとして、1999年にリリースされました。
25か国で1位を記録し、バックストリート・ボーイズ の代表曲です。
作詞作曲はスウェーデン出身のマックス・マーティンらによるもので、マックス・マーティンはバックストリート・ボーイズのプロデューサーで、様々なアーティストとともに数多くの名曲を生み出したヒットメーカーでもあります。
曲名の『I Want It That Way』 は、直訳すると「私 (I) はそれ(it)をそのように(that way)したい」で、「僕はそうしたいんだ」、「私はそうしたいの」という意味になります。
この記事の中で解説しますが、I 、it 、 that way 、それぞれが誰・何を指すのか判然としません。
ただ、だからこそ、その行間からこの曲は、味わい深いものとなっていると思います。
以下、英文法を中心に解説しますが、是非 読者のあなたなりに改めてこの曲を読み直してみてください。
歌詞・和訳
[Verse1]
【歌詞】
You are my fire
The one desire
Believe when I say
I want it that way
But we are two worlds apart
Can’t reach to your heart
When you say
That I want it that way
【和訳】
君は僕の炎
唯一つの望み
僕がこう言ったら信じてよ
「僕はそうしたいんだ」てさ
でも、僕らは2つの世界に分かれていて
君の心に手が届かない
君がこう言う時にはさ
「あなたはそうしたいのね」と
[Chorus]
【歌詞】
Tell me why
Ain’t nothin’ but a heartache
Tell me why
Ain’t nothin’ but a mistake
Tell me why
I never want to hear you say
I want it that way
【和訳】
理由を教えて
心が痛むだけ
理由を教えて
ただの間違いさ
理由を教えて
君がこう言うのをもう聞きたくない
「私はそうしたいの」
[Verse2]
【歌詞】
Am I your fire?
Your one desire
Yes I know, it’s too late
But I want it that way
【和訳】
僕は君の炎?
君の唯一つの望みになれてるのかな
そう、わかってるさ。もう遅い
でも、僕はそうしたいんだ
[Chorus]
上記と同様
[Bridge]
【歌詞】
Now I can see that we’ve fallen apart
From the way that it used to be, yeah
No matter the distance
I want you to know
That deep down inside of me
【和訳】
もう僕らはボロボロだね
昔とは変わってしまったんだ
どんなに離れていても
君にはわかって欲しいんだ
僕の心の奥底にあるものを
【歌詞】
You are my fire
The one desire
You are (you are, you are, you are)
【和訳】
君は僕の炎
唯一つの望み
君は…
【歌詞】
Don’t want to hear you say
Ain’t nothin’ but a heartache
Ain’t nothin’ but a mistake
I never want to hear you say
I want it that way
【和訳】
君がそう言うのは聞きたくない
心が痛むだけ
ただの間違いさ
君がそう言うのをもう聞きたくない
「私はそうしたいの」と
[Chorus]
上記と同様
歌詞の意味・文法解説
[Verse1]
Believe when I say I want it that way
僕がこう言ったら信じてよ「僕はそうしたいんだ」てさ
早速、曲名である I want it that way についてです。
I want it that way は、直訳すると「私 (I) はそれ(it)をそのように(that way)したい」です。
このフレーズでは、I (私) は、語り手の男性・彼自身を指しています。
(I say I want … = 私は「私が…したい」と言う、ですので、そのまま I = 語り手です)
it と that way は何を指しているかは歌詞前体からもはっきりとしませんが、文脈から男女の恋愛に関する内容の曲と思われるので、恐らく
it :二人の恋愛関係そのもの
that way :その恋愛関係の在りかた
のようなことと臆測できます。
しかし、臆測ではなく it と that が使われていることから読み取れることもあります。
it は、話の流れで既出のことを念頭において、その代わりに「それ」というのに対して、that は、何か具体的なことを直接指して「あれ」という場合に用います。
(it は人称代名詞、that は指示語と呼ばれます)
ですので踏み込んで解釈すれば、it は語り手 (話し手) と聞き手の両者が話の流れからおのずと特定できること、つまり、it はこの歌詞の中では、彼と彼女の双方での共通認識のある、互いに分かりあえていることを指しています。
それに対して、that (way) は心理的に距離がありお互いに分かりあえてはいない可能性もあることと捉えられます。
なので、上記の憶測とあいまって、二人とも自分たちが恋愛関係にある (完全には断ち切れていない) ことはお互い分かっているけど、その関係をこれからどうするかについては分かりあえていないのでしょう。
Can’t reach to your heart when you say that I want it that way
君の心に手が届かない、君がこう言う時にはさ「あなたはそうしたいのね」と
再び I want it that way を含んだフレーズです。
ここでは you say that I … と that があるので間接話法です。
間接話法なのでthat以降は地の文・語り手から見た表現になりますから、このフレーズでは、I (私) は、語り手の男性・彼を指しています。
和訳にあたって、あえてカギ括弧に入れて (直接話法) わかりやくすると、上記のような和訳になります。
Believe when I say … (僕がこう言ったら信じてよ) と、少し前のフレーズで言っていますが、Can’t reach to your heart (君の心に手が届かない) なのですから、言ったとしても信じてはもらえないわけですね…。
※ Can’t reach to your heart … のくだりは、主語の”I” が先頭で省略されています。
【話法】
話法には、人の言葉を直接伝える直接話法と、自分 (語り手) の言葉に直して伝える間接話法があります。
※ say that … と that節をとると間接話法ですが、that は省略されることがあります。
[Chorus]
Ain’t nothin’ but a heartache
心が痛むだけ
nothing but …: …にすぎない、…だけ
ain’t = am not、aren’t、isn’t、hasn’t、haven’t
Ain’t nothin’ は、否定が重なっています。
二重否定は肯定の意味になると教科書や参考書に書いてあるのを昔に読んだ方もいるかもしれませんが、ここでは肯定の意味にはなりません。
これはスラングで、強い否定を表します。
また、but は前置詞で「…以外に、…を除いて」なので、このフレーズを直訳すると
Ain’t nothin’ but a heartache
心が痛むこと以外の何かでは全くない
となります。
I never want to hear you say I want it that way
君がこう言うのをもう聞きたくない、「私はそうしたいの」
こちらも I want it that way を含んだフレーズですが、その前にある hear は、知覚動詞 の用法です。
知覚動詞 (hear) + 目的語 (you) + 動詞原形 (say)
上のような語順になり、人間の五感で直接「見る、聞く、感じる」といった行為を表します。
なお、hear that you say … と、that節ならば間接的に情報を知る、人づてに伝聞で「君が…と言うのを耳にした」ということになります。
それに対してこの歌詞のように知覚動詞としての上記の語順ならば、直接聞いたということです。
さて、このフレーズでの I want it that way ですが、you say のあとに that はなく直接話法か間接話法か判然としません。
直接話法の場合
I never want to hear you say “I want it that way”
君がこう言うのをもう聞きたくない、「私はそうしたいの」
直接話法ならば、今度は彼女のほうにも主張があって、“I want it that way”「私 (彼女) はそうしたいの」と言っている訳です。
また that way と “that” であることから、彼女からみても心理的に距離がありお互いに分かりあえてはいない、と思っている可能性もあることと捉えられます。
間接話法の場合
I never want to hear you say (that) I want it that way
君がこう言うのをもう聞きたくない、「あなたはそうしたいのね」と
間接話法ならば 、Verse1 の2つ目 (同じく間接話法) と似たような意味合いになります。
※わかりやすくするため、和訳の日本語の表現ではカギ括弧をつけて直接話法にしています。
これはこの曲を聴く聞き手の解釈次第かと思いますが
上記の直接話法の場合は、それまでの彼ではなく彼女が急に主張しだしてチグハグのようにも感じますし、間接話法の場合の「あなたはそうしたいのね」というのもオウム返しで、しっくりこないようにも思えます。
ウィキペディア (英語) には、メンバーの一人 ケビン・リチャードソンのコメントで「結局のところ、この曲はあまり意味がないんだ」( Ultimately the song really doesn’t make much sense. ) とあり、また作詞をしたスウェーデン出身のマックス・マーティンは当時はまだ英語の知識が限られていたそうです。
このような背景もあり、どこかつかみどころのない歌詞となったのかもしれません。
ケビン・リチャードソンは「意味がわからないけど、歌うと気持ちよくなるような曲は世の中にたくさんあって、この曲もその一つなんだ」ともコメントしています。
その通り、実際に世界中の数多くの人に支持されたことからも素晴らしい曲であることは間違いないでしょう。
[Bridge]
Now I can see that we’ve fallen apart, from the way that it used to be
もう僕らはボロボロだね、昔とは変わってしまったんだ
fall apart:バラバラになる、(精神的に) ボロボロになる
used to:以前は…だった
used to は暗に過去にはしていたけれど現在はしていないという含みがあります。
the way that it used to be は、「(今ではもう変わってしまった) 以前のありよう」ということです。
これが、that way を指すか否かは人それぞれの解釈次第と思います。
No matter the distance
どんなに離れていても
no matter:たとえ…としても
以上です。
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