この記事では、スティングの名曲『Shape of My Heart』の歌詞を英語学習を兼ねて解説します!
好きな洋楽の歌詞で、どんな内容なのか、和訳はネットで検索すれば何種類もヒットするけれど何故そういうニュアンスになるのか疑問に思うことはないでしょうか。
この記事を読んで、そんな疑問を解決して頂ければと思います!
『Shape of My Heart』
シェイプ・オブ・マイ・ハート
スティング
『Shape of My Heart』 (シェイプ・オブ・マイ・ハート)はイングランド出身のミュージシャン、 Sting( スティング )による楽曲。この記事では英語の文法を中心に解説します。
映画『レオン』のエンディングテーマなどに使用されています。
『レオン 完全版』は、本ブログの英語学習の記事でも扱っているので興味のある方はご覧ください。
歌詞・和訳・文法・意味解説
『Shape of My Heart』
Aメロ1 [Verse1]
歌詞
He deals the cards as a meditation
And those he plays never suspect
He doesn’t play for the money he wins
He doesn’t play for respect
和訳
『彼はカードを配る、瞑想のように』
『彼の相手は気づきもしないが』
『彼は金を得るためにしているわけでなく』
『彼は尊敬を得るためにもしてはいない』
He deals the cards as a meditation
彼はカードを配る、瞑想のように
deals the cards:
「カードを配る」の意味になりますが、トランプのカードでしょうから、cards と複数形です。1枚だけでなく、複数枚のひと揃えの手札( the cards )を配っていくわけです。
現在形( deals )ですから、通常この「彼」はカードを配るという行為を、習慣的に行っているか、もしくは、スポーツの実況や、料理を実演して説明するときのように短い時間で完結した動作を描写していると捉えることができます。
ただし、歌詞全体の内容が抽象的で語り手の突っ込んだ考察がされていますから、瞬間的な出来事を切り取ったという描写は考えにくく、前者の解釈に自然になる思います。
as a meditation:
a と不定冠詞があるので、幾つかある瞑想うちの、とある「ひとつ」ということになります。
また、後ろに名詞(a meditation )があるので、as は前置詞です。「… として」、「… のように」、「… のとき」などの訳がありますが、「… のとき」は as a child (子供のとき), as a student (学生のとき)といった主に成長時期の場合で、主語 = child, = student となっていると思いますので、ここでは不適。
ですので「瞑想として」と「瞑想のよう」が有り得て、「瞑想の時に」は不適そうですが、
この前置詞句( as a meditation )が、副詞として deals を修飾するか、形容詞として the cards を修飾するかでも意味が異なります。
副詞の場合:
①カードを、ひとつの瞑想として配る (配ること= 瞑想)
②カードを、ひとつの瞑想のように配る (配ること ≒ 瞑想)
形容詞の場合:
③ひとつの瞑想としてのカードを配る (カード = 瞑想)
④ひとつの瞑想のようなカードを配る (カード ≒ 瞑想)
上の和訳では ② で訳しました。
And those he plays never suspect
He doesn’t play for the money he wins
He doesn’t play for respect
彼の相手は気づきもしないが
彼は金を得るためにしているわけでなく
彼は尊敬を得るためにもしてはいない
those he plays:
ここの play は 「(人)と対戦する、試合する」 という他動詞の用法で、those = 対戦相手 ですね。
suspect (that) : (that 以下) であると疑う、だろうと思う
suspect と似た動詞で doubt がありますが
suspect は that節 以下が 「真」であると疑うこと
doubt は that節 以下が 「偽」であると疑うこと
です。
日本語で単に「 … を疑う」と置き換えた場合に、
「… であることを(「真」だと)疑う」 と 「… でないことを (「偽」だと) 疑う」を
混同しやすいので注意しましょう。
例えば、この歌詞での上記の和訳は「気づきもしないが」としていますが、”気づき” を ”疑い” とだけ置き換えて、「疑いもしないが」とすると 「 … であることを 疑いもしないが」と言っているのか、 「 … でないことを 疑いもしないが」と言っているのか、どちらか判然としなくなります。
また、この歌詞では suspect の that節 が次に続く2行です。
つまり
never suspect that ① He doesn’t play for the money he wins and that ② He don’t play for respect.
という構造の文です。
never があり、①、②ともに否定文ですので二重否定になっています。
歌詞
He deals the cards to find the answer
The sacred geometry of chance
The hidden law of a probable outcome
The numbers lead a dance
和訳
『彼はカードを配り見つけ出そうとする、その答えを』
『運という神聖な幾何学を』
『起こりうる結果のうちにある隠された法則を』
『カードの数字は、そのすべてをかき乱す』
He deals the cards to find … の find の目的語と
The numbers lead a dance の lead の間接目的語が
the answer , the sacred geometry , the hidden law
です。つなげて書くと
He deals the cards to find the answer and the sacred geometry of chance and the hidden law of a probable outcome (,) which the numbers lead a dance
です。
また、The numbers はトランプのカードに書かれた数字を指していると考えられます。
sacred:神聖な
geometry:幾何学、配列
probable:起こりそうな、もっともらしい
lead … a dance: … [人] を引き回して困らせる、(優柔不断な態度で) 迷惑をかける
サビ [Chorus]
歌詞
I know that the spades are the swords of a soldier
I know that the clubs are weapons of war
I know that diamonds mean money for this art
But that’s not the shape of my heart
和訳
『「カードのスペードは戦士の剣だって知っている」』
『「カードのクラブは戦場の武器だって知っている」』
『「ダイヤはこのゲームでカネの意味なんだって知っている」』
『「でも、それは俺のハートの形じゃない」』
ここで3人称から、1人称に変わりますが、主語「 I 」は彼自身のようです。サビの部分では視点が切り替わっているわけです。
the spades、 the clubs には定冠詞があり、一方、diamonds は無冠詞です。
定冠詞 the でトランプの各カードのマークを指して、無冠詞はそれに限定されないものと解せます。
そして、this art がこのトランプのゲーム(ポーカー?)を指すことで、トランプカードのマークのダイヤと無冠詞の diamonds を意味的につなげています。
the spades、 the clubs は、それぞれこの定冠詞を含めた 2単語だけで、トランプのカードに記されたスペードとクラブのマークのことだと限定されますが、 diamonds は for this art までこないとトランプのダイヤだと限定されないです。
(もちろん、一般知識としてトランプのカードを知っているので、予想がつきますが)
But that’s not the shape of my heart
でも、それは俺のハートの形じゃない
の箇所での that が指すものは
「トランプのハート」(もしくはその形)とも解釈できますが、それだけに絞れないように思います。たとえば他に、直前の「money」を指すとしても不可ではないと思えます。
Aメロ2 [Verse2]
歌詞
He may play the jack of diamonds
He may lay the queen of spades
He may conceal a king in his hand
While the memory of it fades
和訳
『彼はダイヤのジャックを使うかもしれない』
『彼はスペードのクイーンを置くかもしれない』
『彼は手札にキングを隠しているかもしれない』
『その記憶も消えかけながら』
play:(トランプの手札)を(テーブルに置いて)見せる、(手札)を出す、を使う
conceal:隠す
hand:手札、持ち札
Aメロ3 [Verse3]
歌詞
And if I told you that I loved you
You‘d maybe think there’s something wrong
I’m not a man of too many faces
The mask I wear is one
和訳
『「君に愛してると言ったならば」』
『「君は何かおかしいと思うだろう」』
『「俺は余計な顔は持ってない」』
『「つけている仮面はひとつだけだ」』
ここでも1人称に視点が変わります。
if I told you that I loved you, you’d maybe think there’s something wrong
仮定法過去の用法です。
too many face:
too ですので必要以上に、過度にあるということで、上記の和訳では「余計」としています。
歌詞
Those who speak know nothing
And find out to their cost
Like those who curse their luck in too many places
And those who fear are lost
和訳
『語る輩は何もわかってない』
『痛い目に遭って気付くのさ』
『至る所で己の不運を呪う者や』
『臆病者が破滅するのと同じ事だと』
to one’s cost:つらい経験をして、(人)の負担で
find, know, learn などの動詞を伴い、その目的語に that節 をとることが多い表現です。この歌詞では that節 の代わりが like以下の文(those who curse … are lost)です。
つまり
「(like以下のこと)を、つらい経験をして [to their cost] 気付く [find out] 」
ということです。
curse:呪う、悪態をつく
以上です。
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