この記事では、ボン・ジョヴィの名曲『Livin’ on a Prayer』の歌詞を英語学習を兼ねて、解説します!
英語の洋楽を聴いていて
この歌詞はどういう意味だろう?
和訳はネットで検索すれば出てくるけれど
何故そういうニュアンスになるんだろう?
そんな風に感じたことはありませんか。
この記事を読んで、そんな疑問を解決して頂ければと思います!
概要
『Livin’ on a Prayer』
リヴィン・オン・ア・プレイヤー
『Livin’ on a Prayer』 (リヴィン・オン・ア・プレイヤー)はアメリカのロックバンド、ボン・ジョヴィ (Bon Jovi) の曲です。
1986年にリリースされたボン・ジョヴィの代表曲の一つ。
最近では緑茶「アサヒ 颯」のCMにも使用されていますね。
曲名の『Livin’ on a Prayer』は“希望 (祈り) を糧に生きる” という意味です。※詳しくはこちら
歌詞は、トミーとジーナという恋人ふたりが困難のなか成功を信じて夢を支えに生きていく、というもので曲の終盤では、それをリスナーである私達にも訴えかける熱い内容となっています。
歌詞に登場するトミーとジーナのストーリーは、ボーカルのジョン・ボン・ジョヴィと作詞家のデズモンド・チャイルドが過去に実際に経験したことがモデルとなっているそうです。
ジョンの学生時代の友人が恋人の妊娠により野球選手となることを諦め生活のために工場勤めとなった出来事、デズモンドは過去タクシー運転手として生計を立てていたが、当時 食堂のウェイトレスをしていたガールフレンドが同僚から「ジーナ」というあだ名で呼ばれいたことが、この曲の歌詞に反映されているそうです。
(このトミーとジーナは、ボン・ジョヴィのもう一つの代表曲である『It’s My Life』にも登場します。)
二人の物語をこの記事で英語学習を兼ねて、あらためて味わってみてください。
以下、この記事では英語の文法などを交え、歌詞を解説します。
歌詞・和訳
Lyrics
[Intro]
【歌詞】
Once upon a time, not so long ago
【和訳】
昔々、そう遠くない昔
[Verse1]
【歌詞】
Tommy used to work on the docks
Union’s been on strike
He’s down on his luck
It’s tough, so tough
【和訳】
トミーは以前は港で働いていたけど
組合はストライキ中で
彼は運に見放された
キツイよ、本当にさ
【歌詞】
Gina works the diner all day
Working for her man
She brings home her pay
For love, for love
【和訳】
ジーナは1日中、食堂で働いている
自分の男のために働いているんだ
彼女は稼いだ金を家に入れる
愛の為に、そう愛の為に
[Pre-Chorus1]
【歌詞】
She says,
We’ve got to hold on to what we’ve got
It doesn’t make a difference if we make it or not
We’ve got each other and that’s a lot for love
We’ll give it a shot
【和訳】
彼女は言う
ふたりで手にしたものの為に頑張らなきゃ
違いはないよ、うまくいこうと、いくまいと
ふたりで一緒にいられる、それで十分
さあ、やってみようよ
[Chorus]
【歌詞】
We’re half way there
Livin’ on a prayer
Take my hand and we’ll make it, I swear
Livin’ on a prayer
【和訳】
私達 (僕達) は、まだ道半ば
希望を糧に生きていく
さあ、私 (僕) の手を取って、きっと上手くいく、必ずね
希望を糧に生きていく
[Verse2]
【歌詞】
Tommy’s got his six string in hock
Now he’s holding in
What he used to make it talk
So tough, it’s tough
【和訳】
トミーはギターを質に入れた
今では彼は我慢している
ギターを弾くことを
キツイよ、本当にさ
【歌詞】
Gina dreams of running away
When she cries in the night
Tommy whispers
Baby it’s okay, someday
【和訳】
ジーナは逃げだすことを夢見る
彼女が夜に泣いていると
トミーは囁く
大丈夫だよ。いつの日か…
[Pre-Chorus2]
【歌詞】
We’ve got to hold on to what we’ve got
It doesn’t make a difference if we make it or not以下、[Pre-Chorus1]と同様
【和訳】
ふたりで手にしたものの為に頑張らなきゃ
違いはないよ、うまくいこうと、いくまいと
以下、[Pre-Chorus1]と同様
[Chorus]
上記と同様
[Bridge]
【歌詞】
We’ve got to hold on
Ready or not
You live for the fight
When that’s all that you’ve got
【和訳】
頑張らなきゃ
覚悟があろうと、なかろうと
君は、戦って生きるんだ
それが君が手にしてきた全てならば
[Chorus] ×3
上記と同様
歌詞の意味・文法解説
[Intro]
Once upon a time, not so long ago
昔々、そう遠くない昔
Once upon a time:昔々
昔話の冒頭の「昔々、あるところに…」の、「昔々」です。
同様の表現で、long long ago も「昔々」という意味ですが、この歌詞では、そこを少し変えて not so long ago となっています。
[Verse1]
Tommy used to work on the docks, Union’s been on strike
トミーは以前は港で働いていたけど、組合はストライキ中で
used to + 動詞の原形: 昔は…していた
on strike:ストライキ中で
used to は「昔(以前は)…していた」、そして言外に、現在はもう、そうではない、という含みがある言葉です。
ですので、この歌詞ではトミーは今は港で働いていないということです。
フレーズにあるように、ストライキがあって働いていない、ということでしょう。
なお、同じ used to でも be used to + 動名詞 となると「…に慣れている」という意味になり、異なるので注意しましょう。
be used to + 動名詞: …に慣れている
He’s down on his luck
彼は運に見放された
down on one’s luck:運に見放されて
こちらも、まえのフレーズのストライキの為、労働者に賃金がでないので、生活が苦しくなり、運に見放された、ということですね。
[Pre-Chorus1]
We’ve got to hold on to what we’ve got
ふたりで手にしたものの為に頑張らなきゃ
hold on to:…を持ち続ける、…にしがみつく
what は関係代名詞で「もの・こと」という意味で what 主語 + 動詞 ならば「主語が…しているもの (こと) 」となります。
ですので、このフレーズを直訳すると以下です。
We’ve got to hold on to what we’ve got
私達が手に入れたものを持ち続けなければならない
※ have got to は「…しなければならない」(= have to) という意味です。
ここで what we’ve got 「私達が手に入れたもの」は、今までにトミーとジーナの二人で、はぐくみ培ってきた夢や希望を指すと考えれば、what we’ve got は曲名や [Chorus] にある prayer (祈り・希望) をほのめかしているとも解釈できます。
ちなみに hold on to は「しがみつく、固執する」という意味に文脈からなる場合もありますが、必ずしもネガティブな表現ではなく、「しっかりと手放さずに持つ」といったニュアンスです。
to を除いた hold on は「その場を持ちこたえる、頑張る」とといった意味です。
hold on:その場を持ちこたえる、踏ん張る
hold on to the last
最後まで頑張る
It doesn’t make a difference if we make it or not
違いはないよ、うまくいこうと、いくまいと
make it:うまくいく、成功する
if はこのフレーズのように「たとえ…でも」という even if の意味になることがあります。
We’ll give it a shot
さあ、やってみようよ
give it a shot:試しにやってみる、挑戦してみる
shot は「射撃・銃弾」のほかに「試み」という意味があります。
it は文脈の流れで話題になっていることで、結果がどうなるかわからない、うまくいかない可能性があるような物事を指しています。
it が指すものも、”what we’ve got” や “prayer” と同様ですね。
[Chorus]
Livin’ on a prayer
希望を糧に生きていく
live on:…で暮らしを立てる、…を食べて生きる
live on には、ほかに「…に依存して生きる」という意味があります。
prayer:祈り、かすかな望み
player (選手、演奏者) ではありません。prayer です。
prayer は「祈祷者、祈る人」という意味もありますが、祈りそのものを指すことのほうが多いです。(発音も若干違います)
「祈り」から転じて「かすかな望み」という意味もあり、この曲では、トミーとジーナが苦労しながら目指している夢やあこがれといった二人が共有してきた想いを prayer は指していると考えられます。
Take my hand and we’ll make it, I swear
さあ、私 (僕) の手を取って、きっと上手くいく、必ずね
I swear:本当なんです、絶対だ
swear は「誓う」という意味で、I swear を直訳すると「私は誓います」ですが、実はもっとカジュアルな表現で「本当なんだよ!」「絶対そうなんだって、マジで!」といったニュアンスです。
※ジーナ、トミーのどちらの言葉とも考えられるので、上記の和訳では “私” と “僕” を併記しています。
[Verse2]
Tommy’s got his six string in hock
トミーはギターを質に入れた
in hock:質に入って
hock だけでも名詞で「質入れ」、動詞で「質に入れる」という意味があります。
six string は「6本の弦」がある楽器、つまりギターのことですね。
なお、動詞 get には第5文型 SVOCで以下の用法があります。
O [人・物] をC [特定の状態・状況] にする
このフレーズはこれにあてはまります。
前置詞句 in hock が、動詞 get (has got) を修飾すると考えてしまい「トミーがギターを質で (in hock) 手に入れた (has got)」と勘違いして和訳しないよう、気を付けましょう。
このフレーズの in hock のような文末にある前置詞句は、文脈や周囲の単語の意味合いによって、名詞を修飾するのか動詞を修飾するのか (つまり形容詞句か副詞句か) が決まるので注意が必要です。
思わず勘違いしてしまい、不自然な的を得ない訳になったら上記を思い出してみましょう。
Now he’s holding in what he used to make it talk
今では彼は我慢している、ギターを弾くことを
hold in:(感情などを) 抑える
このフレーズの後半を直訳すると
what he used to make it talk
彼がそれを話させる為に使っていたもの
です。
what は [Pre-Chorus1] での解説と同様の関係代名詞「もの・こと」という意味で、used の目的語にあたります。(what he used:彼が使っていたもの)
to 以降が不定詞句、it は文脈からギターを指すと考えられます。(to make it talk:それ [ギター] を話させる為に)
ここで hold in は感情などを抑制することを踏まえると、以下のようになります。
what he used to make it talk
彼がギターを奏でる為に使っていた想い
ちょっと冗長ですので上記の和訳では短くまとめています。
[Bridge]
You live for the fight when that’s all that you’ve got
君は、戦って生きるんだ、それが君が手にしてきた全てならば
主語 you がありますが、このフレーズの前半は、命令文と解釈できます。
直訳すると
You live for the fight
君はその戦いの為に生きなさい
です。
他の誰でもないアナタに言っているんだ、という場合には、このように命令文の主語 you が明示されることがあります。
この曲の中で、you が使われるのは唯一このフレーズしかなく、you は聞き手である私達自身を指しています。
主語 you を明示することで、トミーやジーナではなく今この曲を聞いている君たちに対して言っているんだ、という含みがあるわけです。
※ 命令文の主語 youの明示については、以下の書籍にも詳しく解説されています。興味があれば参照してみてください。
『謎解きの英文法 省略と倒置』また all that you’ve got は、[Pre-Chorus1] の what we’ve got と同様の意味合いと考えられます。
以上です。
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