この記事では、カーペンターズの名曲『Yesterday Once More』(イエスタデイ・ワンス・モア) の歌詞を英語学習を兼ねて、解説します!
英語の洋楽を聴いていて
この歌詞はどういう意味だろう?
和訳はネットで検索すれば出てくるけれど
何故そういうニュアンスになるんだろう?
そんな風に感じたことはありませんか。
この記事を読んで、そんな疑問を解決して頂ければと思います!
概要
『Yesterday Once More』
イエスタデイ・ワンス・モア
『Yesterday Once More』(イエスタデイ・ワンス・モア)はアメリカの兄弟デュオ、カーペンターズ (Carpenters) の代表曲の一つです。
特に日本とイギリスではカーペンターズ最大のヒット曲となっています。
作詞・作曲は、リチャード・カーペンターとジョン・ベティス。
ジョン・ベティスは、カーペンターズの曲の作詞を多く手掛けており、「トップ・オブ・ザ・ワールド」、「青春の輝き」も彼の作詞です。
1973年にリリースされ、歌詞の内容は、昔ラジオから流れていたオールディーズの曲 (50年代~60年代の曲) を懐かしむ、というものです。
(今では、この曲自体が古き良き曲の仲間入りをしてますね)
『Yesterday Once More』は、彼らのアルバム「Now & Then」(今と過去) のB面の冒頭に導入曲として収録されました。
このアルバムはオールディーズ のカバーメドレーとなっています。
そのメドレーに続いて最後に『Yesterday Once More』がもう一度流れて締め括られるというアルバム構成です。
そもそも元々50年代~60年代の曲のカバーメドレーの企画が先で、それがきっかけでリチャード・カーペンターのアイデアから作られた曲がこの『Yesterday Once More』なのだそうです。
このような背景を踏まえて曲を聞き直すと今までとは違った印象になるかもしれませんね。
曲名の『Yesterday Once More』は「過ぎし日 (昨日) がもう一度」といった意味です。
詳しくはこちらをご覧ください。
ノスタルジーで繊細な歌詞をこの記事を通して、あらためて味わってみてください。
以下、この記事では英語の文法を中心に歌詞を解説します。
歌詞・和訳
Lyrics
[Verse1]
【歌詞】
When I was young, I’d listen to the radio
Waitin’ for my favorite songs
When they played, I’d sing along
It made me smile
【和訳】
若い頃は、ラジオを聴いて
お気に入りの曲を待ったものよ
曲が流れて、一緒に唄うと
笑顔になれた
[Pre-Chorus1]
【歌詞】
Those were such happy times
And not so long ago
How I wondered where they’d gone
But they’re back again
Just like a long-lost friend
All the songs I loved so well
【和訳】
とても幸せな時間だった
そう遠くない昔のこと
あの時間はどこにいってしまったのかしら
でもまた戻ってきたわ
懐かしい友だちのよう
全部、私が大好きな曲
[Chorus1]
【歌詞】
Every “sha-la-la-la”
Every “whoa, whoa-oh” still shines
Every “shing-a-ling-a-ling”
That they’re starting to sing so fine
When they get to the part
Where he’s breaking her heart
It can really make me cry
Just like before, it’s yesterday once more
【和訳】
全ての “シャ・ラ・ラ・ラ” が
全ての “ウォウ・ウォウ・ラ・ラ” がまだ輝いている
どれも “シンガ・リンガ・リン” と歌い出して、素敵よ
曲があの部分にさしかかる
彼が彼女を傷つけてしまうくだり
すると、私はホントに泣いてしまうの
あの頃のように、そこには過ぎし日がもう一度
[Verse2]
【歌詞】
Lookin’ back on how it was in years gone by
And the good times that I had
Makes today seem rather sad
So much has changed
【和訳】
過ぎ去った年月を振り返り
楽しかった日々を思い出すと
今が少し悲しくなる
多くのことが変わってしまったから
[Pre-Chorus2]
【歌詞】
It was songs of love
That I would sing to then
And I’d memorize each word
Those old melodies
Still sound so good to me
As they melt the years away
【和訳】
あの頃に歌っていたのはラブソング
ひとつひとつ歌詞を覚えていた
そんな昔のメロディーが
今でもとても心地良く響き
過ぎ去った年月を融かしていく
[Chorus2]
【歌詞】
Every “sha-la-la-la”
Every “whoa, whoa-oh” still shines
Every “shing-a-ling-a-ling”
That they’re starting to sing so fine
All my best memories
Come back clearly to me
Some can even make me cry
Just like before, it’s yesterday once more
【和訳】
全ての “シャ・ラ・ラ・ラ” が
全ての “ウォウ・ウォウ” がまだ輝いている
どれも “シンガ・リンガ・リン” と歌い出して、素敵よ
最高の想い出が鮮明によみがえり
泣いてしまうこともある
あの頃のように、そこには過ぎし日がもう一度
[Outro]
歌詞の意味・文法解説
[Verse1]
When they played, I’d sing along. It made me smile
曲が流れて、一緒に唄うと、笑顔になれた
sing along:一緒に歌う、合わせて歌う
… made me smile は、使役動詞 make による第5文型 SVOC の文です。
ここでは補語 (C) が動詞の原形で「目的語 (O) に 補語 (C) させる」という意味になります。
直訳すると
It (S) made (V) me (O) smile (C)
それは私を笑顔にさせた
です。
※ 主語 (S)の代名詞 it は「流れた曲と一緒に唄う」という前の文の内容を指しています。
使役動詞 make は主に「強制的に…させる」という意味なることがありますが、強制的に・無理やりに といったネガティブなニュアンスだけでなく「自然と…とさせる」といった意味にもなります。
このフレーズは「一緒に唄うと、自然に笑顔になれた」ということです。
使役動詞のSVOC
目的語 (O) と 補語 (C) がイコールの関係になるのがSVOCの文型の特徴です。
使役動詞の補語 (C) には動詞の原形、過去分詞、現在分詞、形容詞と様々な品詞のパターンがあります。
[Pre-Chorus1]
How I wondered where they’d gone
あの時間はどこにいってしまったのかしら
I wonder:…だろうかと思う、…かなと思う
I wonder … は、好奇心や不安を抱いて「…だろうかと思う」「…かなと思う」という意味です。
また、このフレーズは感嘆文で how は wonder を強調しています。
感嘆文は、喜び、悲しみ、驚きなどの感情を表す文でこの歌詞のように how で始まるものや what で始まる文があります。
wonder は名詞としては「驚き・不思議な事」という意味ですから、ここでは驚きの感情を表す感嘆文です。
[Chorus1]
Every “sha-la-la-la”, every “whoa, whoa-oh” still shines
全ての “シャ・ラ・ラ・ラ” が、全ての “ウォウ・ウォウ” がまだ輝いている
このフレーズ、そして次のフレーズに”シャ・ラ・ラ・ラ” 、”ウォウ・ウォウ”、”シンガ・リンガ・リン”という印象的な歌詞が登場します。
これらは、いわゆるスキャットと呼ばれるもので、スキャットは「ラララ」のような意味のない言葉で歌うことです。
ただ、ここまでの歌詞で語られてきたように、この曲は昔の好きな曲を思い返すという内容です。
ですので、単なるスキャット (意味のない言葉) ではなく、これらは昔、好きだった曲のスキャットということです。
昔の曲の印象的な歌詞 (スキャット) が、今でも記憶に鮮やかに残って輝いている (still shines) ということでしょう。
これらのスキャットが用いられているのは、具体的には以下のような曲だそうです。
“sha-la-la-la” … ビートルズ Baby It’s You (冒頭部分)
“whoa, whoa-oh“ … ヘレン・シャピロ YOU DON’T KNOW (冒頭部分)
“shing-a-ling-a-ling” … ザ・コーズ Sh-Boom (0:22秒~)
Just like before, it’s yesterday once more
あの頃のように、そこには過ぎし日がもう一度
曲のタイトルともなっている箇所です。
様々な解釈もできますが、シンプルに be動詞の is は「…である、…になる」の意味合い (SVC) で直訳すると以下です。
it’s yesterday once more
それはもう一度の昨日である
代名詞 it は「昔の曲を懐かしむ」というここまでの歌詞の内容を指すと解釈できます。
yesterday は「過去 」(過ぎ去った日々) とも訳されます。
そのまま訳せば
it’s yesterday once more
「昔の曲を懐かしむ」ことはもう一度の「過ぎ去った日々」である
英語から日本語に橋渡しをしたので、少し遠回りになりましたが、これはいわゆる隠喩 (メタファー) と捉えられます。
これを意訳したのが上記の和訳で it’s yesterday once more は「そこには過ぎし日がもう一度」と解釈できます。
隠喩 (メタファー)
※ 隠喩 (メタファー) は、「…のような」「…みたいな」といった言葉を用いない喩え (たとえ) のことです。
隠喩の例:「彼女はぼくの天使だ」「時は金なり」
隠喩という言葉は知らなくても、おそらく直感的にこの歌詞が隠喩だと捉える人は多いのではないでしょうか。
ただ、これ以外にも、it や yesterday をどう解釈するかによって、色々な意味合いが考えられます。
実はこの曲の歌詞の英語解釈について丸々、一冊の本にもなっています。
この記事での解釈とも異なる点が多々ありますので、ご興味のある方は、以下の書籍をご覧になってください。
『イエスタデイ・ワンス・モア』の秘密 (著 : 土屋 唯之)[Verse2]
Lookin’ back on how it was in years gone by and the good times that I had makes today seem rather sad
過ぎ去った年月を振り返り、楽しかった日々を思い出すと、今が少し悲しくなる
Look back on:回答する、振り返る
Lookin’ back on … から … rather sad までがひと続きの文です。
主語が Lookin’ back、述語 (文全体の動詞) が makes です。
“how it was in years gone by” と “the good times that I had” が前置詞 on の目的語で、それぞれを等位接続詞の and でつないでいます。
また、ここでも makes は使役動詞で seem はその補語の役割をはたす動詞の原形です。([Verse1]参照)
rather:幾分、少々
ここでは rather は「幾分、少々」ということで、この意味合いで使われる場合は好ましくない気持ちを表します。
ちなみに、好ましい気持ちを表す場合には fairly が使われます。
[Pre-Chorus2]
It was songs of love that I would sing to then
あの頃に歌っていたのはラブソング
文法で言えば、このフレーズは強調構文を使った文です。
強調構文では
It is [ ] that …
の [ ] の位置に強調したい語句を入れます。
この歌詞は I would sing to songs of love then 「私はその頃ラブソング歌っていた」をもとにした強調構文で songs of love の部分を強調しています。
元の文:
I would sing to songs of love then
強調構文:
It was songs of love that I would sing to then
強調構文にすることで「ほかのどんな曲でもない、ラブソングを歌っていた」というニュアンスになります。
Those old melodies still sound so good to me as they melt the years away
そんな昔のメロディーが今でもとても心地良く響き、過ぎ去った年月を融かしていく
melt away:溶けてなくなる、徐々に消える
英語学習のおすすめ書籍
『Yesterday Once More』(イエスタデイ・ワンス・モア) の歌詞を英語学習を兼ねて、解説してきましたが、いかがでしたでしょう。
最後に、よく聞かれるので、筆者が英語学習にこれまで特によく使ったおすすめ書籍をご紹介します。
どれも定番です。
この記事のような解説を書く際にも参照することがあります。
まず英文法の基礎はこちら。
昔はフォレストという名前でしたが、いつの間にか名前が変わっていましたね。
さらに詳細な英文法書。
以上です。
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