この記事では、ヒューイ・ルイス&ザ・ニュースの名曲『The Power of Love』の歌詞を英語学習を兼ねて、解説します!
英語の洋楽を聴いていて
この歌詞はどういう意味だろう?
和訳は検索すれば出てくるけれど
何故そういうニュアンスになるんだろう?
そんな風に感じたことはありませんか。
この記事を読んで、そんな疑問を解決して頂ければと思います!
概要『The Power of Love』 (パワー・オブ・ラヴ)
バックトゥザフューチャーの主題歌
『The Power of Love』 (パワー・オブ・ラヴ)はアメリカのロックバンド「ヒューイ・ルイス&ザ・ニュース」(Huey Lewis & The News) の曲です。
1985年の映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の主題歌として印象に残っている方も多いのではないでしょうか。全米チャート1位にもなっています。
映画の作中にはヒューイ・ルイスがカメオ出演(※)しています。
※カメオ出演は、映画や演劇などで作品に縁の深い人物が短時間、端役で出演することです。
一方、PVには、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のドク役のクリストファー・ロイドがデロリアンで登場します。
力強くてポジティブな曲を、この記事を読んで英語の勉強にも役立ててみて下さい。
以下、この記事では英語の文法についても交えて歌詞を解説します。
歌詞・和訳
『The Power of Love』 (パワー・オブ・ラヴ)
[Verse1]
【歌詞】
The power of love is a curious thing
Make a one man weep, make another man sing
Change a hawk to a little white dove
More than a feeling that‘s the power of love
【和訳】
愛の力は不思議さ
大の男を泣かせたり歌わせたりする
鷹を白い鳩に変えてしまうのさ
感情じゃ表せない、それが愛の力なんだ
【歌詞】
Tougher than diamonds, rich like cream
Stronger and harder than a bad girl’s dream
Make a bad one good make a wrong one right
Power of love that keeps you home at night
【和訳】
ダイヤモンドより固く、クリームみたいにまろやか
イケナイ娘の夢より強くてたくましい
悪人を善人に、間違いも正しくしてしまうのさ
愛の力が夜におまえを家にくぎ付けにするのさ
[Chorus]
【歌詞】
You don’t need money, don’t take fame
Don’t need no credit card to ride this train
It’s strong and it’s sudden and it can be cruel sometimes
But it might just save your life
That’s the power of love
That’s the power of love
【和訳】
金も名声も必要ない
クレカだってこの列車に乗るのにいらないさ
強くて突然で、時に残酷でも
おまえの人生を救ってくれるかもよ
それが愛の力さ
それが愛の力さ
[Verse2]
【歌詞】
First time you feel it, it might make you sad
Next time you feel it it might make you mad
But you’ll be glad baby when you’ve found
That’s the power makes the world go ‘round
【和訳】
初めにそいつを感じたら、悲しむかもしれないし
次に感じたら、気がおかしくなるかもしれない
でもさ、見つけるとおまえは嬉しくなるぜ
それがこの世界を回す力なのさ
[Chorus]
※上記と同様
[Bridge]
【歌詞】
They say that all in love is fair
Yeah, but you don’t care
But you know what to do
When it gets hold of you
And with a little help from above
You feel the power of love
You feel the power of love
Can you feel it ?
【和訳】
恋は何でもありだ、て言うよな
そうさ、でも気にしやしない
やるべきことはわかってるのさ
そいつに囚われちまった時にはね
あと、ちょっと神様の力を借りて
愛の力を感じるのさ
愛の力を感じるのさ
感じるかい?
[Outro]
歌詞・意味・文法解説
『The Power of Love』 (パワー・オブ・ラヴ)
[Verse1]
The power of love is a curious thing
愛の力は不思議さ
curious thing: 興味(好奇心)をそそるもの
curious は、「好奇心をそそる、興味深い」という意味の単語です。
また悪い意味で「詮索好き、野次馬根性」という意味にもなります。
ただ、基本的にはポジティブなニュアンスを持った言葉です。この歌詞も前者の「好奇心をそそる、興味深い」の意味で使われていると考えてよいと思います。
Make a one man weep, make another man sing
大の男を泣かせたり歌わせたりする
不定詞の名詞的用法:
このフレーズだけを切り取ってみると
動詞原形 (make) から始まるので命令文のようにも見えますが、命令文ではありません。
命令文ならば、「男を泣かせろ! 歌わせろ!」なんて意味になってしまいます…。いえ、もしかしたらそういう解釈をしてもいいのかもしれませんが…、文脈からすると不自然です。
文脈から考えて、make の主語は the power of love で、make の前にbe動詞と不定詞が省略されていると考えるのが自然と思います。
つまり
The power of love (is to) make a one man weep, (and is to) make another man sing
という文です。
この不定詞は、名詞的用法と呼ばれるもので、文の中で名詞の役割をします。
ここでは補語として名詞の役割をしています。
この部分の歌詞では、be動詞の is は直前のフレーズで使用されているので重複を避けて省略されています。また、名詞的用法の to不定詞はこの歌詞のように、省略されることがあります。
weep:泣く、嘆く
使役動詞 make:
また、このフレーズは使役動詞 make による第5文型 SVOC の文です。
「 S が O を C という状態に (V) する 」という意味で、補語 (C) にくる動詞は原形になります。
主語 (S):The power of love
動詞 (V):(is to) make
目的語 (O):a one man / another man
補語 (C):weep / sing(動詞の原形)
Change a hawk to a little white dove
鷹を白い鳩に変えてしまうのさ
ここも前のフレーズと同様に、主語 the power of love、be動詞と、名詞的用法の不定詞 to が省略されています。(この省略は以降も適宜使われます)
hawk:鷹 (タカ)、タカ派、強硬派
dove:鳩 (ハト)、ハト派、穏健派
政治のニュースでもタカ派、ハト派と言われるように
hawk は、どう猛で好戦的な男、dove は、おとなしい穏やかな男の比喩となっています。
More than a feeling that‘s the power of love
感情じゃ表せない、それが愛の力なんだ
ここで that は関係代名詞で、うしろから前の文を修飾しています。
文脈から、その修飾する対象 (先行詞) の言葉は more です。feeling ではありません。
ここでは more は名詞で「それ以上のこと」という意味です。
Power of love that keeps you home at night
愛の力が夜におまえを家にくぎ付けにするのさ
“the power of love” (愛の力) は、この歌の曲名でもあり、歌詞の中にも何度も登場します。
よく見てみると、このフレーズだけ定冠詞 the がなく 無冠詞です。
定冠詞 the は「特定のこと」を表すのに使われます。
このフレーズ以外での定冠詞のついた”the power of love” では、ほかの力と対比して、ほかのどの力でもなく愛という「特定の」力、つまり、
“the power of love” =『ほかでもない愛の力』
という含みがあるわけです。
そして、無冠詞のこのフレーズではほかとの対比を意識せずに、より一般的な事柄としての『愛の力』を意味するということです。
すこし踏み込んだ解釈をして、一般的 = 当たり前のこと と考えれば
Power of love that keeps you home at night
愛の力が、当然、夜におまえを家にくぎ付けにするのさ、ほかと比べるまでもないだろ?
のようなニュアンスで意訳できると思います。
すこし前の歌詞に登場する「a bad girl’s dream」(イケナイ娘の夢 [妄想?] ) にも負けずに家にいるぜ! 当たり前だろ!? 常識だぜ! というちょっと皮肉めいた、でもあくまで一般論として冷めて語っているような感じにもとれます。
[Chorus]
You don’t need money, don’t take fame, Don’t need no credit card to ride this train
金も名声も必要ない、クレカだってこの列車に乗るのにいらないさ
fame:名声、評判
このフレーズだけでなくこの曲で使われいてる主語の you はいわゆる 総称のyou で、「おまえ」(you) と言いつつ一般の人々を指しています。自分も含めて「おまえ (you) もそうだろ?」 と、相手を巻き込んでいくのは英語のオハコ (?) ですね。
don’t take と don’t need の主語も you ですが省略されています。
それから、Don’t need no credit card の部分は、don’t (do not) と no とで二重否定になっています。
学校で習った文法でいえば、否定の否定は肯定となりそうですが、肯定にはなりません。
Don’t need no credit card の箇所は、実はスラングで強い否定を意味します。
つまり、
Don’t need no credit card
クレジットカードは全く必要ない
ということです。
ちなみに、ローリングストーンズの名曲「サティスファクション」でも
と同じ強い否定のスラングが使われています。
同様のスラング表現で
I ain’t got no money
⇒「金がない」
I don’t have nothing to do
⇒「マジひま」
などと言ったりします。
[Verse2]
But you’ll be glad baby when you’ve found
でもさ、見つけるとおまえは嬉しくなるぜ
you will be glad と助動詞 will が使われて主節では未来のことを言っていますが、when節 では you have found と現在完了形です。
when節 も未来のことですが、will は使われていません。
これは「時や条件」の接続詞節では、「前提」として「実際に成り立つ」と考えられる内容となるため「予測」とは関係ないので will を使いません。
なので、未来のことでも「実際にやり終えた+時に」と考えて現在完了形になります。
現在完了形は上記のように「未来に実際にあると想定するべきこと」のほかにも、「一般論」を表すときにも用いられます。
この例文は「睡眠不足の時に運転してはいけない」という一般論ですが、このような場合には現在完了形は「先に終わっていること」を表すことになります。
That’s the power makes the world go ‘round
それがこの世界を回す力なのさ
go ‘round:グルグルまわる
power と makes のあいだには関係代名詞が省略されています。
That’s the power (that) makes the world go ‘round
[Chorus]
※上記の繰り返し
[Bridge]
They say that all in love is fair, Yeah, but you don’t care
恋は何でもありだ、て言うよな、そうさ、でも気にしやしない
all in love is fair:
直訳すると「愛においてすべては公平だ」ですが、
ことわざ として
という言葉があって、悪いことを正当化するためなどに使われる表現です。
また、スティービーワンダーの曲で同名の『All in Love Is Fair』(1973年8月リリース) の冒頭では「All is fair in love. Love’s a crazy game」(恋は何でもあり。狂ったゲームだ) とも歌われていたりします。
ヒューイ・ルイスらがスティービーワンダーの曲を意識していたかはわかりませんが、all in love is fair という言葉は、恋愛はクレイジーで危ういものだという意味合いが込められていると思います。
そのことを踏まえた上で、Yeah, but you don’t care 「そうさ、(もちろん危険は承知の上さ、)でも気にしやしない」 と続いているわけですね。
And with a little help from above
あと、ちょっと神様の力を借りて
help from above:
この言葉は「天 (上) からの助け」という意味で、神様のことを指しています。
以上です。
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