この記事では ジャミロクワイ の『Virtual Insanity』 (ヴァーチャルインサニティ) の歌詞を英語学習を兼ねて、深堀りして解説します!
英語の歌詞を読んでいて…
この歌詞、どういう意味だろう?
和訳は検索すれば出てくるけれど
何故、和訳はそういうニュアンスになるんだろう?
そんな風に感じたことはありませんか?
この記事を読んで、そんな疑問を解決して頂ければと思います!
『Virtual Insanity』… その曲名からして興味をそそられますよね。
バーチャルインサニティ…
この曲の概要や、『Virtual Insanity』 とは何か? 歌詞に込められたメッセージは?
この記事では英語の文法を中心にじっくり解説していきます。
概要解説
『Virtual Insanity』
(ヴァーチャルインサニティ)
『Virtual Insanity』 (ヴァーチャルインサニティ / バーチャルインサニティ)は、1996年にリリース。イギリス出身の Jamiroquai (ジャミロクワイ) による曲です。
ジャミロクワイはバンド名、かつ、そのボーカルのジェイ・ケイのステージネーム(芸名)だそうです。バンドは、ジェイ・ケイのみのソロユニット。
上のYoutube動画の床が動くなかでダンスをするミュージック・ビデオは有名ですし、日清食品のカップヌードルのCMにも使用されていましたね。
それから、この曲は札幌の地下街での体験から着想を得ているそうです。
ホントに? と初め驚いたのですが、Youtubeにもその事が語られた東京ドーム公演の動画が今も上がっています(こちらの36:10~で話しています)。
日本の街と縁があったとは、ちょっと不思議な気分ですね…。
歌詞・和訳
イントロ [Intro]
歌詞
World we’re living in?
Let me tell ya
和訳
『僕らが住んでる世界だって?』
『教えてあげるよ』
Aメロ1 [Verse1]
歌詞
And it’s a wonder man can eat at all
When things are big that should be small
Who can tell what magic spells we’ll be doing for us
And I’m giving all my love to this world
Only to be told
I can’t see
I can’t breathe
No more will we be
和訳
『でさ、驚いたことに、人間はとにかく食べちゃうんだ』
『ホントは些細な事が大ごとになっちゃうとね』
『自分自身にどんな魔法をかけているかなんて誰が分かるって言うのさ』
『僕はすべての愛をこの世界に捧げてるんだ』
『でも結局、思い知らされるだけ』
『僕には何も見えないし』
『僕は息もできない』
『これ以上は皆、無理だよ』
Bメロ1 [Pre Hook1]
歌詞
And nothing’s going to change the way we live
‘Cause we can always take, but never give
And now that things are changing for the worse
See, Whoa, it’s a crazy world we’re living in
And I just can’t see that half of us immersed in sin is all we have to give these –
和訳
『それにさ、何も僕らの生活を変えたりしない』
『だって、いつも奪うだけで与えないのだから』
『そうして今や物事は悪いほうに変わっていくんだから』
『ほらね、イカれた世界なんだよ、僕らが住んでいるのは』
『だからよく分からないのさ、罪に塗れた僕らの半分がこんなのに捧げられなきゃならないってことがね』
サビ [Hook]
歌詞
Futures made of virtual insanity
Now always seem to be governed by this love we have
For useless, twisting, other new technology
Oh, now there is no sound
For we all live underground
和訳
『事実上の狂気で造られた未来』
『今それは僕らの ”この” 愛でいつだって支配されてるみたいだ』
『役立たずで歪んだ別の新しい技術へのね』
『ああ、物音ひとつしない』
『皆、地下で暮らしているのだから』
Aメロ2 [Verse2]
歌詞
And I’m thinking what a mess we’re in
Hard to know where to begin
If I could slip the sickly ties that earthly man has made
And now every mother can choose a colour of her child
That’s not nature’s way
和訳
『それで、僕らが真っ只中にいるひどいゴタゴタが何なのかって考えてるんだ』
『どこから始めていいかわからないや』
『俗物どもが作った病んだ絆から逃れることができればいいのに』
『そして今じゃ母親は皆、子供の肌の色を選べるんだ』
『そんなの自然なことじゃないよね』
Bメロ2 [Pre Hook2]
歌詞
Well that’s what they said yesterday
There’s nothing left to do but pray
I think it’s time I found a new religion
Whoa, it’s so insane to synthesize another strain
There’s something in these futures that we have to be told
和訳
『ええと、そんなふうに奴らは昨日言っていたんだ』
『もうただ祈るしかないよ』
『そろそろ新しい宗教を見つける時かな』
『もう正気じゃないよ、異なる種を合成するなんて』
『こんな未来には、語られなければならない何かがあるよ』
サビ [Hook] × 1
※上記の繰り返し
Cメロ [Bridge]
歌詞
Now there is no sound
If we all live underground
And now it’s virtual insanity
Forget your virtual reality
Oh, there’s nothing so bad
Ain’t so bad, happiness
Oh yeah, I know yeah
和訳
『物音ひとつしない』
『僕らが皆、地下に住めば』
『それはもう事実上の狂気だよ』
『君にとっての事実上の現実なんて忘れてしまいなよ』
『ああ、そんなに悪くないさ』
『悪くないさ、幸せさ』
『そうさ、僕は知っているんだよ』
サビ [Hook] × 1
※上記の繰り返し
エンディング [Outro]
歌詞
Oh, now this life that we live in
It’s all so wrong
Out of the window
You know that there is nothing worse than a man-made man
Still there is nothing worse than a foolish man
Virtual insanity is what we’re living in
Yeah, the world is all I have
和訳
『ああ今、僕らの暮らすこの生活』
『全部間違ってるよ』
『問題にもなりやしない』
『知ってるだろ。人に造られた人間ほど悪いものはないさ』
『愚かな人間ほど悪いものはないさ』
『事実上の狂気が僕らが住んでいる所さ』
『そうさ、世界は僕のすべてなんだ』
歌詞・和訳 ・文法解説『 Virtual Insanity 』 …その意味は?
イントロ [Intro]
World we’re living in? Let me tell ya
僕らが住んでる世界だって? 教えてあげるよ
Let me tell you:聞いてください、言わせてください
※重要な事、驚くような事を言う前などに使われる表現です
ya:= you
you のほかにも ya は、 yes, your, などの意味にもなるスラング。ヒップホップ、ラップなどでは頻出しますね。
Aメロ1 [Verse1]
And it’s a wonder man can eat at all
でさ、驚いたことに、人間はとにかく食べちゃうんだ
このフレーズは急に and から始まりますが、and は文頭でも使用されます。アナウンサーなどが話題を変えたり、本題に入るときに使うような用法で、「さて」、「では」、「じゃあ」といった意味になることがあります。
また、他にも意外な事、驚きを表して「ほんとに」、「それで」といった意味で文頭にくることもあります。上記の歌詞はこれらどちらかの用法と思われます。
あと、文頭に and をつけて、前の話に続けて、「それから」、「それどころかさらにね」のような表現となることもあります。
この曲ではこのような and の用法が多用されているともとれます。
at all :(肯定文の場合)とにかく、絶対に、無条件に
Who can tell what magic spells we’ll be doing for us
自分自身にどんな魔法をかけているかなんて誰が分かるって言うのさ
ここでの tell は「分かる、見分ける」という意味での用法です。この場合、この歌詞のように can や could を伴います。
And I’m giving all my love to this world, only to be told (that) I can’t see (and that) I can’t breathe. No more will we be.
僕はすべての愛をこの世界に捧げてるんだ、でも結局、思い知らされるだけ、僕には何も見えないし、僕は息もできない。これ以上は皆、無理だよ。
And I’m giving … から始まって、I can’t breathe までがひと続きの文になると思います。つまり、つなげると上記になります。
only to は不定詞の用法のうち「結果」を表すものでしょう。
…, only to : 「… 、しかし結局 ~ というだけだった 」
という意味になります。「愛を捧げても、結局、何も見えず、息もできずだ」そして、「それ以上はどうしようもないよ」(No more will we be)というわけです。
Bメロ1 [Pre Hook1]
And now that things are changing for the worse
そうして今や物事は悪いほうに変わっていくんだから
now that : 今や … だから
for the worse:悪い方向に、いっそう悪く
for the worse はこの歌詞のように change と一緒に使われることがあります。
And I just can’t see that half of us immersed in sin is all we have to give these –
だからよく分からないのさ、罪に塗れた僕らの半分がこんなのに捧げられなきゃならないってことがね
ここの部分は最後の these が次に続くサビの歌詞に掛っていると思います。
ですので、全てつなげると以下です。
And I just can’t see that half of us immersed in sin is all we have to give these ( futures made of virtual insanity )
「だからよく分からないのさ、罪に塗れた僕らの半分がこんな ( 事実上の狂気で造られた未来に ) 捧げられなきゃならないってことがね」
また、 half of us immersed in sin ( 罪に塗れた僕らの半分 ) の half は具体的には何に対する half なのでしょうね?
僕ら = 世の中の人間の半分が罪にまみれて、半分は全然 罪に塗れてない、という意味なのか。それとも 世の中の人間の一人ひとりの半分が罪まみれているのか。
前述の歌詞で、Who can tell what magic spells we’ll be doing for us ( 自分自身にどんな魔法をかけているかなんて誰が分かるって言うのさ ) ともあるので、区別して分けられるようなものでないとすれば、後者、つまり、 世の中の人間が一人ひとりの半分が罪まみれている ということのように思えます。
all we have to give these
ここは上記で「こんなのに捧げられなきゃならない」と訳しましたが、直訳して「僕らがこれらに与えなければならない全て」となるものを表現を変えています。この場合、all を give の直接目的語 (SVOO の後ろのO) と捉えています。
immerse:浸す、つける
サビ [Hook]
Futures made of virtual insanity
Now always seem to be governed by this love we have
For useless, twisting, other new technology
事実上の狂気で造られた未来
今それは僕らの ”この” 愛でいつだって支配されてるみたいだ
役立たずで歪んだ別の新しい技術へのね
Futures made of virtual insanity は、直前の形容詞 these に掛けられていると見て give の間接目的語 でもありますし(give these futures made of virtual insanity)、後にくる seem の主語にもなっています。
seem の主語とした場合、other new technology までが一連の文となっていて、以下です。
Futures made of virtual insanity now always seem to be governed by this love (that) we have for useless, twisting, other new technology.
※ this love は we have 以降の関係詞節で修飾されています。
virtual:事実上の、仮想の
この「事実上の」と「仮想の」は、捉えようによっては真逆の意味に思えるかもしれませんが、この言葉の前に、「まるで」や「ほぼ」とつけてみると分かりやすと思います。
まるで事実上の現実、まるで事実上の人間、まるで事実上の …
(表面上、名目上 あるいは、厳密には違うが)事実上の、実質上の …
といった意味合いになります。
insanity:狂気
govern:支配する、管理する
virtual insanity
曲のタイトルでもある virtual insanity は上記の和訳では直訳で「事実上の狂気」としています。
つまり、ジャミロクワイは曲の全編を通して、「そんなもので作られた世の中なんて、おかしいよ!」と言っているわけです。
ボーカルのジェイ・ケイは熱心な環境活動家としても知られており、この曲の歌詞では、行き過ぎたテクノロジー化に警鐘を鳴らしているのだと思います。
IT・コンピュータ分野で、仮想現実 (バーチャルリアリティー)、仮想メモリ、仮想サーバー などなど、日本語としても、仮想 (バーチャル) という言葉をそのまま耳にする機会が増えたこともあって、逆に 上記の「事実上の」というニュアンスが捉えずらくなっているので、注意しましょう。
昔、初めてこの曲名を聞いたとき
「仮想狂気」? 何それ?
と私は思ってしまいました…。
Oh, now there is no sound, for we all live underground
ああ、物音ひとつしない、皆、地下で暮らしているのだから
for は接続詞で 「… だから」というふうに理由を導き、その理由は前の文を補足します。
この用法はやや固い表現で口語ではあまり使われることが少ないようです。
Aメロ2 [Verse2]
what a mess we’re in
僕らが真っ只中にいるひどいゴタゴタ
what は疑問形容詞で「何てすごい」、「何てひどい」という意味合い。
mess:混乱、ゴタゴタ
If I could slip the sickly ties that earthly man has made
俗物どもが作った病んだ絆から逃れることができればいいのに
こちらは主節のない if節 で願望を表しています。
この歌詞のように could や would を共に使うと未来への願望を表します。if only … と only をつける場合もあります。
※主節を if節 の前後の文と考えるのは文脈から難しいと思いますが、いかがでしょう?
slip :(束縛などを) 逃れる、(結び目などを) ほどく
sickly:不快な、病弱な
tie:結び目、絆
earthly:世俗的な、この世の
Bメロ2 [Pre Hook2]
that’s what they said yesterday
そんなふうに奴らは昨日言っていたんだ
ここの that は前出の ”every mother can choose a colour of her child” を、they は ”一般の人々” を指していると思いますが、解釈は色々あるかもしれません。
There’s nothing left to do but pray
もうただ祈るしかないよ
nothing but: … だけ、 … のみ
この歌詞では、nothing を left to do で修飾して、nothing left to do but … (… だけしか、することが何も残っていない) となってます。
Whoa, it’s so insane to synthesize another strain
もう正気じゃないよ、異なる種を合成するなんて
insane:正気でない、狂気の
insane の名詞形が insanity (狂気) です。
synthesize:合成する
strain:種族、血統
Cメロ [Bridge]
Forget your virtual reality
君にとっての事実上の現実なんて忘れてしまいなよ
ここでの reality は insanity と対比とさせて、自分以外の誰かの ( 君の = your ) 思っているような現実 ( virtual reality ) に疑問を投げかけているのかと思われます。
エンディング [Outro]
Out of the window. You know that there is nothing worse than a man-made man
問題にもなりやしない。知ってるだろ。人に造られた人間ほど悪いものはないさ
Out of the window:(出来事が) もはや問題にされないで、考慮に入れられないで
man-made:人造の、合成の
英語学習のおすすめ書籍
『Virtual Insanity』の歌詞を英語学習を兼ねて、解説してきましたが、いかがでしたでしょう。
最後に、よく聞かれるので、筆者が英語学習にこれまで特によく使ったおすすめ書籍をご紹介します。
どれも定番です。
この記事のような解説を書く際にも参照することがあります。
まず英文法の基礎はこちら。
昔はフォレストという名前でしたが、いつの間にか名前が変わっていましたね。
さらに詳細な英文法書。
以上です。
コメント