作品概要
平凡な高校生が驚異的な能力を身につけ、その力で世の中の悪を懲らしめる! 王道とも言えるストーリーのアクション映画ですが、登場人物や設定が作り込まれ、見事にアメコミの雰囲気を実写で表現しています。完成された様式美があります。
主人公も悪役もそれぞれに葛藤や弱さを抱えながら戦いを繰り広げ、展開もテンポが良く、きっとあなたも引き込まれるはず。もう20年程前の作品ですが、今も色褪せない人間味溢れるヒーローが活躍します。まだ見ていない方は是非ご覧あれ!
幼くして両親を失ったピーターは、大学進学と同級生のメリー・ジェーンへの恋に悩む普通の高校3年生。だがある日、遺伝子を組み替えた特殊なクモに偶然噛まれたことから、超人的な能力を身につける。愛する者たちを守るために、ヒーローとなる宿命を背負ったピーター=スパイダーマンの戦いが今、始まる!
出典:Amazon
基本情報
アメリカ映画 2002年公開 (121分)
原題:Spider-Man
舞台:アメリカ合衆国ニューヨーク州ニューヨーク市
出演:
俳優 | 役名 |
---|---|
トビー・マグワイア Tobey Maguire | ピーター・パーカー / スパイダーマン Peter Parker / Spider-Man |
ウィレム・デフォー Willem Dafoe | ノーマン・オズボーン / グリーン・ゴブリン Norman Osborn / Green Goblin |
キルスティン・ダンスト Kirsten Dunst | メリー・ジェーン・ワトソン Mary Jane Watson |
ほか
語彙の傾向
- Main:家族、恋愛、犯罪 関連
- Sub:生物学、経営、学生生活、暴力、ビジネス 関連
英語表現等
車中での伯父との会話
0:34:43 ~ 0:36:21
スパイダーマンの力を使ってのプロレス参戦に臨む主人公ピーターを、ベン伯父さんが会場に車で送り届ける際の会話です。
ピーターの今後の生き方に大きな影響を与える会話ですね。
Ben : You shirk your chores
⇒ 手伝い(雑用)を避ける
shirk:(責任・義務などを)逃れる、怠ける
※ちなみに「サメ」は shark で一文字 違います。
chore:雑用
Ben : You sure as hell finished it.
⇒ 「お前がそいつを倒したことは、確かだ。」
sure as hell:確かに、間違いなく、絶対に
hell (地獄)という単語からも想像がつくと思いますが、丁寧な表現ではありません。
as hell だけでも「ものすごく」という意味で、sure とあわせて「ものすごく確かに」となります。
すべて直訳すると「地獄 (hell) と同じくらい (as) 確かに (sure)」ですが、何となくイメージがわきますよね?
finish:(人)をやっつける、参らせる
ここでfinishの目的語となっている「it」は、主人公の同級生フラッシュ・トンプソンなので、人物を指していますが、代名詞には「him」ではなく「it」が使用されています。
「it」の用法のうち
- [3 人称単数中性主格] それは[が] 《★【用法】 すでに言及した無生物・語句・性別が不明またはそれを考慮しない場合の幼児・動物をさす》.
- [心中にあるかまたは問題になっている人・もの・事情・出来事・行動などを指す]
※ 研究社 新英和中辞典より
といった用法に当てはまるのかと思いますが、推測です。少し後のくだりで「This guy Flash Thompson (フラッシュ・トンプソンという奴)」と言っているので、相手のことを既知ではなく距離感があり、親近感があまりないことが汲み取れます。
Ben : Just because you can beat him up doesn’t give you the right to.
⇒ 相手を倒せるからといって、お前にその権利があるわけじゃない(やっていいわけじゃない)。
Just because … doesn’t ~ : … だからといって ~ ではない。
Ben : With great power comes great responsibility
名セリフです。 ⇒ 『大いなる力は、大いなる責任が伴う』
このセリフは倒置文で
副詞 + 動詞 + 主語 となっています。
(副詞:With great power、動詞:comes、主語:great responsibility)
そのまま直訳すれば 「大いなる力に伴って やってくるのは、大いなる責任です」
主語の「大いなる責任」(great responsibility)が強調されています。
このセリフ、元々は「アメイジング・ファンタジー」(Amazing Fantasy #15)というアメコミ雑誌でのナレーションでは
” With great power there must also come great responsibility ”
※ Wikipedia(英語) With great power comes great responsibilityより
という言い回しだったようです。文法としてはthere構文です。
一方、映画のこのセリフは、文法としては、おそらく場所句倒置(所格倒置 locative inversion)のようなものと思われます。
there構文も、場所句倒置も、似通った特徴があり、主語には聞き手が予測できない新情報がきます。
また、英語では、①重要度の低→高、②既知→未知、③語数が短い→長い、の流れが意識されます。
つまり、映画のこの場面は、スパイダーマンの特殊な力を得た主人公と、その変化を察した伯父の会話ですから、二人とも『力』(power)については既に知っていて、聞き手である主人公が無自覚・未知な『責任』(responsibility)について重要だと伯父は伝えたかったわけです。
以上です。
コメント