この記事では映画「アルマゲドン」の主題歌、エアロスミスの名曲『I Don’t Want to Miss a Thing』の歌詞を英語学習を兼ねて、解説します!
英語の洋楽を聴いていて
この歌詞はどういう意味だろう?
和訳はネットで検索すれば出てくるけれど
何故そういうニュアンスになるんだろう?
そんな風に感じたことはありませんか。
この記事を読んで、そんな疑問を解決して頂ければと思います!
概要
『I Don’t Want to Miss a Thing』
ミス・ア・シング
『I Don’t Want to Miss a Thing』 (邦題:ミス・ア・シング)はアメリカのロックバンド、エアロスミス (Aerosmith) の曲です。
エアロスミスとしては珍しく、バンド外部のソングライターであるダイアン・ウォーレンによる作詞作曲です。
この曲は、映画「アルマゲドン」(1998年) の主題歌として制作され、映画にはボーカルのスティーブン・タイラーの娘リヴ・タイラーがヒロインとして出演しました。
当初はセリーヌ・ディオンのような女性シンガーを想定して作られていたそうですが、歌詞の内容を映画になぞらえて「娘を想う父親の気持ち」と読み取れば、実の父娘の関係にあるエアロスミスの起用もうなずけます。
それまでにも人気を博してきたエアロスミスでしたが、この曲はアルマゲドンのサウンドトラックに収録、エアロスミスの初の全米シングルチャート1位となりました。
曲名の『I Don’t Want to Miss a Thing』は「何ひとつ見逃したくない」という意味です。
後述しますが、a thing は直訳すれば「ひとつのもの」ですが、「ひとつのものでさえ」という意味合いです。
このような点もふまえて、以下、この記事では英語の文法を中心に歌詞を解説します。
歌詞・和訳
Lyrics
[Verse1]
【歌詞】
I could stay awake just to hear you breathing
Watch you smile while you are sleeping
While you’re far away and dreaming
I could spend my life in this sweet surrender
I could stay lost in this moment forever
Where every moment spent with you is a moment I treasure
【和訳】
君の息遣いをただ聞く為に、起きていられるよ
眠りながら笑顔になる君をながめてられる
君が遠くで夢を見ているあいだ
この甘い感情に身を委ね人生を過ごすことができるよ
この瞬間に、永遠に浸っていてもいい
君と過ごした一瞬一瞬を大切に心に刻むのならば
[Chorus]
【歌詞】
Don’t want to close my eyes
I don’t want to fall asleep
Cause I’d miss you baby
And I don’t want to miss a thing
Cause even when I dream of you
The sweetest dream will never do
I’d still miss you baby
And I don’t want to miss a thing
【和訳】
目を閉じたくない
眠りに落ちたくないんだ
だって君が恋しいから
何ひとつ逃したくないんだ
だって君の夢を見ても
最も甘い夢でさえ、もの足りないんだ
それでも君が恋しいよ
何ひとつ逃したくないんだ
[Verse2]
【歌詞】
Lying close to you
Feeling your heart beating
And I’m wondering what you’re dreaming
Wondering if it’s me you’re seeing
Then I kiss your eyes
And thank God we’re together
I just want to stay with you in this moment forever
Forever and ever
【和訳】
君に寄り添い横になり
君の鼓動を感じる
君はなんの夢を見ているのだろう
君が夢で逢っているのは僕なのかな
なら、僕は君の瞳にキスをするよ
そして、僕らが一緒なのを神に感謝するんだ
ただこの瞬間に君といつまでも一緒にいたい
いつまでも永遠に
[Chorus]
上記と同様
[Bridge]
【歌詞】
I don’t want to miss one smile
I don’t want to miss one kiss
I just want to be with you
Right here with you, just like this
I just want to hold you close
I feel your heart so close to mine
And just stay here in this moment
For all the rest of time
【和訳】
ひとつの微笑みも逃したくない
ひとつのキスも逃したくない
ただ君と一緒にいたいんだ
ここで君と、こんなふうに
ただ君を抱きしめたいんだ
君の心を僕のすぐ近くに感じて
ただ、この瞬間にとどまるんだ
残された時間のあいだ、ずっと
[Chorus] ×2 >> [Outro]
上記と同様
歌詞の意味・文法解説
[Verse1]
I could spend my life in this sweet surrender
この甘い感情に身を委ね人生を過ごすことができるよ
surrender:(感情などに) 身を任せること、おぼれること
surrender には、「降伏」の意味もありますが、ほかに上記の意味もあります。
この歌詞は名詞ですが、動詞の用法もあります。
could は、仮定法で「(やろうと思えば) …できるだろうに」という表現で、仮定の能力について言及しています。
I could stay lost in this moment forever
この瞬間に、永遠に浸っていてもいい
stay lost:迷子のまま
第2文型 (SVC) の文です。
「S (主語) はC (補語) という状態である(V:動詞)」
という意味で、「S=C」の関係があります。
直訳すると
I could stay lost in this moment forever
この瞬間に永遠に迷っていてもいい
です。
lost は lose (負ける・失う・迷う)の過去形・過去分詞ですが、この歌詞のように形容詞としても使われることが多いです。
Where every moment spent with you is a moment I treasure
君と過ごした一瞬一瞬を大切に心に刻むのならば
treasure:心に銘記する、心にしまっておく
treasure は名詞「宝物」のほかに動詞として上記の意味や「…を大切にする・蓄える」という意味があります。
a moment を関係代名詞節の I treasure が修飾しています。
Where は接続詞としてこの歌詞では用いられていて、意味は「…する場合に」「…に関する限り」です。
この接続詞 where はひとつ前のフレーズをつないでいます。
以上を踏まえて、このフレーズとひとつ前のフレーズをあわせて直訳すると
I could stay lost in this moment forever where every moment spent with you is a moment I treasure
君と過ごした一瞬一瞬が、僕が大切に心にしまっておく瞬間であれば、この瞬間に永遠に迷っていてもいい
です。
幸せなときに、時間が止まればいいのに、と思うようなことってありますよね。
[Chorus]
I don’t want to miss a thing
何ひとつ逃したくないんだ
miss:見逃す、恋しい
thing:物事
曲名となっているフレーズです。
miss という単語がもつ中核的な意味は「逃す・…し損なう」で、そこから様々な意味に広がります。
miss の「恋しい」は「…がいなくて寂しい」ということです。
この曲では「…を見逃す」「…が恋しい」のどちらの意味でも使われています。
文脈からもわかるとおり don’t want to miss … ならば「見逃したくない」ですし、… miss you ならば「恋しい」ですね。
a thing は直訳すると「ひとつのもの」ですが、ここでは「ひとつのものでさえ」という含みがあります。
even 「…でさえ」が a thing の前に省略されていると考えることができます。
(even) a thing
ひとつのものでさえ
このような even「…でさえ」の省略については、ひとつ下の解説にも記載しています。
The sweetest dream will never do
最も甘い夢でさえ、もの足りないんだ
do:十分である、用が足りる
do は will などの助動詞を伴って「十分である・用が足りる」という意味でも使われます。
sweetest は sweet の最上級です。
この歌詞のように、形容詞の最上級がある場合、「もっとも…なでさえ」という even の意味を含むことがあります。
ひとつ前の解説に引き続き、ここでも even「…でさえ」が省略されています。
(これは国語の問題でもありますが)
「…でさえ」という表現は、程度の甚だしい事例を引き合いに出して、それ以外のことも同様だ、とほのめかす表現です。
ですので、最上級で極端な事例を挙げることで、気持ちの上で「…でさえ」という含みが入るということです。
ひとつ前の解説のフレーズでは、ひとつ (だけ) a thing という事例を挙げることで同じように含みが入ると考えられます。
こういった点を考慮せず、このフレーズを直訳すると以下のように、不自然になってしまいます。
The sweetest dream will never do
最も甘い夢 が、もの足りない
これでは、ちゃんと訳しているつもりなのに、的を得ない、痒い所に手が届かないような文になってしまいます。
英文を読んでいて、このような違和感があれば上記を思い出して見てください。
ちなみに、even は動詞なら「等しくする」、形容詞なら「均等な」という意味です。
そのような意味を持つ even が、副詞では「…でさえ、…でも」の意味になることも、上記の「程度の甚だしい事例を引き合いに出して、それ以外のことも同様だ (等しい)、とほのめかす表現」ということを考慮すると理解できると思います。
[Verse2]
And I’m wondering what you’re dreaming
君はなんの夢を見ているのだろう
wonder:…だろうかと思う、…かなと思う
wonder は「驚き・不思議な事」という名詞の意味で、カタカナで”ワンダー”として、映画の邦題や漫画などでもよく使われますね。
しかし、英語で I wonder … と言えば、好奇心や不安を抱いて「…だろうかと思う」「…かなと思う」という意味にもなります。
I think … よりも遠回しなニュアンスです。
この歌詞のように進行形にすると、まだ決心がついていない、ということが示唆されて、さらに控え目な表現になります。
Wondering if it’s me you’re seeing
君が夢で逢っているのは僕なのかな
いわゆる強調構文を使った文です。
強調構文では
It is [ ] that …
の [ ] の位置に強調したい語句を入れます。
口語では that が省略されることがあり、この歌詞でも省略されています。
この歌詞は you’re seeing me 「君は僕と会っている (を見ている)」をもとにした強調構文です。
強調構文にすることで「ほかの誰でもない、僕と会っている」というニュアンスになります。
上記の和訳では文脈から「”夢で” 逢っている」と意訳しています。
以上です。
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