この記事では、Maroon 5の『Memories』の歌詞を英語学習を兼ねて、解説します!
英語の洋楽を聴いていて
この歌詞はどういう意味だろう?
和訳は検索すれば出てくるけれど
何故そういうニュアンスになるんだろう?
そんな風に感じたことはありませんか。
この記事を読んで、そんな疑問を解決して頂ければと思います!
概要
『Memories』(Maroon5)
『Memories』 (メモリーズ)はアメリカのロックバンド「マルーン5」(Maroon 5) の曲です。
亡くなった友人へのレクイエム (鎮魂歌) として作られた曲です。
曲名 Memories は「思い出」という意味で、今は亡き友人との memories (思い出) の有り様が歌詞に綴られています。
2017年に彼らを長年支えてきたマネージャーで、ボーカルのアダム・レヴィーンの幼馴染みでもある ジョーダン・フェルトスタイン (Jordan Feldstein) が肺塞栓症で40歳の若さで急死し、彼に捧げてこの『Memories』は作られたそうです。
この曲が収録されたアルバム『Jordi』も、ジョーダン のニックネームにちなんで付けられ、ミュージックビデオの最後にも「For Jordi」という文字が現れます。
また、この曲はヨハン・パッヘルベルのカノン ニ長調をベースにしているそうで、クラシックにあまり触れない人でも、この曲を聴くと馴染みのあるメロディと感じるのではないでしょうか。
歌詞はシンプルな言葉で、難しい英単語もありません。この記事を読んで静かな曲に込められた意味を味わってみてください。
以下、この記事では英語の文法を交えて歌詞を解説します。
歌詞・和訳
『Memories』
[Chorus]
【歌詞】
Here’s to the ones that we got
Cheers to the wish you were here, but you’re not
‘Cause the drinks bring back all the memories
Of everything we’ve been through
【和訳】
僕らが手に入れたものに乾杯しよう
君がここにいればという願いに乾杯だ、君はいないけどね
だって、飲めば思い出が全部よみがえるから
僕らが経験してきたことすべてのね
【歌詞】
Toast to the ones here today
Toast to the ones that we lost on the way
‘Cause the drinks bring back all the memories
And the memories bring back,
Memories bring back you
【和訳】
今日ここにいるみんなに乾杯しよう
僕らが道半ばで失くしたものに乾杯だ
だって、飲めば思い出が全部よみがえるから
思い出がよみがえって
思い出が君を連れ戻してくれるんだ
[Verse1]
【歌詞】
There’s a time that I remember,
When I did not know no pain
When I believed in forever,
And everything would stay the same
【和訳】
今も覚えている
痛みを少しも知らず
永遠を信じていたとき
すべてが同じままだと
【歌詞】
Now my heart feel like December
when somebody say your name
‘Cause I can’t reach out to call you,
But I know I will one day, yeah
【和訳】
今、僕の心は12月みたいだ
誰かが君の名を言うとね
もう君を呼ぶこともできないからさ
でも、いつかきっと…
[Pre-Chorus]
【歌詞】
Everybody hurts sometimes
Everybody hurts someday, ayy-ayy
But everything gon’ be alright
Go and raise a glass and say
【和訳】
誰しも時には傷つく
誰しもいつか傷つく
でも、すべてうまくいくさ
さあグラスを掲げて言おう
[Chorus]
※上記と同様
[Verse2]
【歌詞】
There’s a time that I remember,
When I never felt so lost
When I felt all of the hatred
Was too powerful to stop
【和訳】
今も覚えている
こんな途方に暮れることもなく
あますことない憎しみを感じていた頃を
抑えきれない程に強くね
【歌詞】
Now my heart feel like an ember
And it’s lighting up the dark
I’ll carry these torches for ya
That you know I’ll never drop
【和訳】
今、僕の心は残り火のようだ
それは暗闇を照らし出す
この松明を君のために運ぶんだ
そうさ、決して落としたりしないよ
[Pre-Chorus] >> [Chorus] >> [Outro]
※上記と同様
歌詞・意味・文法解説
『Memories』(メモリーズ)
[Chorus]
Here’s to the ones that we got
僕らが手に入れたものに乾杯しよう
Here’s to: …を祝して乾杯
この曲では、乾杯を意味する言葉が幾つかでてきます。まずはこの Here’s to です。
あえて直訳すれば、「さあ、ここで … へ / … に向けて」という意味です。
なんとなくニュアンスはわかりますよね。
Here’s をつけずに単に、” To … “ と言っても乾杯の意味になります。
Cheers to the wish you were here, but you’re not
君がここにいればという願いに乾杯だ、君はいないけどね
Cheers:乾杯
cheer には「喝采、声援」という意味があり、複数形 cheers とすると “乾杯” の掛け声の言葉になります。
wish:願い、望み
wish のあとにつづく、you were here は wish の内容を説明しています。
文法としては 同格のthat が省略されています。
the wish (that) you were here
君がここにいればという願い
また、 were と過去形ではありますが、過去 (昔) のことではなく、今 ここに君がいればいいのに、という願いです。
これは現実ではありえないことを表す動詞の使い方で、いわゆる、仮定法の用法です。
過去形を使うことで、現実の世界から距離を置いた、仮定・想像 (想念) 上のことを表しています。
ちなみに、仮定法は、叙想法と言うこともあります。
そして、つづいて
but you’re not
の部分では、現在形 are となって「 (実際は) 君はいない」と、仮定と現実が対比されています。
‘Cause the drinks bring back all the memories of everything we’ve been through
だって、飲めば思い出が全部よみがえるから、僕らが経験してきたことすべてのね
memory:思い出、記憶(力)
この曲の名前にもなっている言葉です。
「思い出」の意味では数えられる可算名詞です。一方、「記憶力」の意味では数えられない不可算名詞になることが多いです。この曲では文脈からも、前者ですね。
through:… を経験して
ここの歌詞で、all the memories という語順になっていますが、このように、all は名詞を修飾する時に 定冠詞 the よりも前にきます。
同じように定冠詞 the よりも前にでる語は both , half , double などがあります。
Toast to the ones that we lost on the way
僕らが道半ばで失くしたものに乾杯だ
Toast to:… に乾杯する
これも乾杯するときの表現です。
toast は「トースト」、つまり薄切りのパンのことです。それが「乾杯」の意味になったのは、古代ローマでパンをワインにつけて酸味を和らげて飲む習慣が由来だそうです。
toast を使った「乾杯」の表現には、make a toast / have a toast などがあります。
直訳すれば「さあ、トーストを作ろうぜ!」ですが、勘違いしてはいけません…。
on the way:途中で
[Verse1]
‘Cause I can’t reach out to call you
もう君を呼ぶこともできないからさ
reach out:連絡しようとする、接触する、手を伸ばす
このフレーズは、解釈がいくつかできると思います。
to call you を「君を呼ぶ」として、直訳すれば…
I can’t reach out to call you
君を呼ぼうとして、連絡しようとしてもできない
もしくは、直前のフレーズで、when somebody say your name (誰かが君の名を言うとね) とあることからイメージを膨らませると…
誰かがいなくなってしまった “君” の名前を言って、「おい、お前のこと呼んでるぞぉ」と、思わず肩でも叩くように手を伸ばそうとしてしまって、あらためて “君” がいなくなってしまったことを実感してしまう (寒さの厳しい12月のように) 、ということかもしれません。
I can’t reach out to call you
君を呼ぼうとして、手を伸ばすこともできない
to call you を「君に電話する」として、直訳すれば…
I can’t reach out to call you
君を電話しようとして、(受話器 / 携帯に) 手を伸ばすこともできない
などなど、いろいろな解釈ができます。
どれをとっても、can’t reach out という表現からは、”君” に触れあおうにも、もうできない、という切なさが感じられると思います。
[Pre-Chorus]
But everything gon’ be alright
でも、すべてうまくいくさ
gon’: going to の省略形
going to は発音に時間がかかるため、このように gon’ という省略した形で日常会話で使用されることがあります。
同様の省略形として、gonna (= going to) があります。
[Chorus]
※上記と同様
[Verse2]
When I felt all of the hatred was too powerful to stop.
あますことない憎しみを感じていた頃を。抑えきれない程に強くね。
hatred:憎しみ
too ~ to …: ~すぎて … できない、 …するにはあまりに~すぎる
詩の区切りにあわせて、分けて訳していますが hatred と was のあいだで途切れず、ひと続きの文です。
直訳すると、以下です。
When I felt all of the hatred was too powerful to stop.
その憎しみのすべてがあまりに強くて抑えることができないと感じていた頃
ここで hatred の前には定冠詞 the がついているため、これは話し手と聞き手のあいだで特定できるような"憎しみ"を表しています。
抽象的・一般論のような
「すべての憎しみ」( all hatred )
ではなくて、
「聞き手 (≒ ” 君 / you ” )とのあいだで共通の認識のあった憎しみのすべて」 (all of the hatred)
を表していると思います。
以上です。
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