この記事では、ベット・ミドラーの名曲『The Rose』の歌詞を英語学習を兼ねて、じっくり解説します!
英語の洋楽を聴いていて
この歌詞はどういう意味だろう?
和訳は検索すれば出てくるけれど
何故そういうニュアンスになるんだろう?
そんな風に感じたことはありませんか。
この記事を読んで、そんな疑問を解決して頂ければと思います!
『The Rose』 (ローズ)
『The Rose』 (ローズ)はアメリカの歌手・女優の 「ベット・ミドラー」(Bette Midler) の曲です。
1979年公開の同名の映画『ローズ』の主題歌です。
日本でも2015年にはドラマ「アルジャーノンに花束を」の主題歌に使用されたり、ジブリアニメ「おもひでぽろぽろ」(1991年公開)の主題歌として日本語のカバー(訳詞:高畑勲)を演歌歌手の都はるみが歌っています。
なお、曲の構成を下記では、Verse1 → Verse2 → Verse3 としていますが、それぞれが Aメロ → Aメロ → Bメロ → Aメロ のメロディの流れになっています。
例えば、Verse1 ならば、冒頭 Some say から to bleed までが Aメロ → Aメロ、そのあとから aching need までが Bメロ、そして、そのあとは Aメロのメロディに戻ります。
これは伝統的なアイルランド民謡の構成のようです。
あたたかなメロディとともに、歌詞の意味もこの記事を見て味わってみてください!
以下、この記事では英語の文法を中心に解説します。
歌詞・和訳
[Verse1]
【歌詞】
Some say love, it is a river
That drowns the tender reed
Some say love, it is a razor
That leaves your soul to bleed
Some say love, it is a hunger
An endless aching need
I say love, it is a flower
And you, its only seed
【和訳】
人は言う、愛、それは河だと
それは柔らかな葦を溺れさせる
人は言う、愛、それはカミソリだと
それはあなたの魂が血を流したままにする
人は言う、愛、それは飢えだと
終わりなく疼き求めること
私は言う、愛、それは花だと
そして、あなたはその唯一の種
[Verse2]
【歌詞】
It’s the heart afraid of breaking
That never learns to dance
It’s the dream afraid of waking
That never takes the chance
It’s the one who won’t be taken
Who cannot seem to give
And the soul afraid of dying
That never learns to live
【和訳】
傷付くことを恐れる心
それでは決して踊れるようにはなれない
目覚めることを恐れる夢
それでは決してチャンスは掴めない
奪われまいとする人
その人は与えることができないような人だ
そして死を恐れる魂
それは決して生きるということを知り得ない
[Verse3]
【歌詞】
When the night has been too lonely
And the road has been too long
And you think that love is only
For the lucky and the strong
Just remember in the winter
Far beneath the bitter snows
Lies the seed that with the sun’s love
In the spring becomes the rose
【和訳】
夜があまりに寂しく
道のりがあまりに長く
そして愛とは結局
運や力をもつ人のためのものだと思える時
思い出して、冬には
厳しい雪の下に
種があり、太陽の愛で
春にはバラを咲かせることを
歌詞・意味・文法解説
『The Rose』
[Verse1]
Some say love, it is a river that drowns the tender reed
人は言う、愛、それは河だと、それは柔らかな葦を溺れさせる
say の従属節が love 以下で
it が指すのは” love “と捉えるのが、もちろん自然で、カッコを補えば
Some say [ love, it is (( a river that drowns the tender reed )) ]
人は言う、愛、それは柔らかな葦を溺れさせる河だ
です。
この部分の歌詞では、love を it で言い換えているのは、詩や音のリズム的な理由かと思います。
drown:溺死させる、水浸しにする
tender :柔らかい、(体質が)弱い、優しい
reed:葦 (あし…植物)
reed (葦) に関して有名な「人は考える葦である」というパスカルの言葉がありますが、この前段の文を含めると以下で、reed (葦) は弱い人間に例えられます。この歌詞でも同様です。
razor:かみそり
aching :(ずきずき)痛む、うずく
[Verse2]
It’s the heart afraid of breaking that never learns to dance
傷付くことを恐れる心、それでは決して踊れるようにはなれない
強調構文で、「the heart afraid of breaking」を強調しています。
afraid of breaking は、the heart を後ろから修飾しています。
なお、break someone’s heart および heartbreaking で次のような意味になります。
break someone’s heart :(人の)心を打ち砕く、胸を張り裂く、ふる [恋愛で]
heartbreaking :胸が張り裂けるような、悲痛な
learn to:努力して~できるようになる、~することを学ぶ
learn to は、自分が努力をして何かをできるようになる、ということです。
自然に何かができるようになる、という場合は、come to を使います。
It’s the one who won’t be taken who cannot seem to give
奪われまいとする人、その人は与えることができないような人だ
won’t は、will not の省略形です。
will は、未来・意志・推量・傾向・習性・能力 といった様々な意味を表すことができる助動詞です。そのどれにあたるかは文脈から判断することになります。
この歌詞では、その中では「意志」の意味合いで解釈できると思います。
その否定形 won’t は「強い拒絶」になります。
won’t: どうしても~しようとしない
take も様々な意味になる表現ですが、give and take (持ちつ持たれつ) という言葉からもわかるように、give と組み合わせて使われると、take は「受け取る、取り入れる」という意味になります。
また、さらに踏み込んで
take:奪う
といった意味にもなります。
奪う人を「テイカー (taker) 」、与える人を「ギバー (giver) 」と言ったりしますよね。
[Verse3]
Just remember in the winter far beneath the bitter snows lies the seed that with the sun’s love in the spring becomes the rose
思い出して、冬には厳しい雪の下に種があり、太陽の愛で春にはバラを咲かせることを
歌詞では、4行に分かれていますが、上記のようにひと続きの文です。
remember :思い出す
思い出す内容 (remember の目的語になる従属節) が、in the winter 以下なのですが、倒置されて、副詞句→動詞→主語の順番になっています。
- 副詞句
-
far beneath the bitter snows
厳しい雪の下に - 動詞
-
lies
在る - 主語
-
the seed that with the sun’s love in the spring becomes the rose
太陽の愛で春にはバラを咲かせる種
厳しい雪の下に 太陽の愛で春にはバラを咲かせる種 が在る
このような倒置は伝えたい情報の名詞が文の最後にまわされることによります。
英語では「重要でないこと」⇒「重要なこと」の順に情報をならべて効果的に相手に伝わるように工夫がされることがあるからです。
また、上記の主語の部分は、the seed を that 以降の関係代名詞節で修飾しています。
- 先行詞 + 関係代名詞
-
the seed that
種 (そしてそれは…)
- 副詞句
-
with the sun’s love in the spring
太陽の愛で春に - 動詞
-
becomes
になる - 補語
-
the rose
バラ
太陽の愛で春には バラになる 種
ここでも、副詞句 with the sun’s love in the spring を前にもってきて、becomes the rose という伝えたいことを文の最後にまわされています。
そのことを強調すれば、以下のような訳になり
種、そしてそれは太陽の愛で春には バラを咲かせる
これは上記の歌詞の和訳と同様となります。
以上です。
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