この記事では、ザ・チェインスモーカーズとコールドプレイの楽曲『Something Just Like This』の歌詞を英語学習を兼ねて、じっくり解説します!
英語の洋楽を聴いていて
この歌詞はどういう意味だろう?
和訳は検索すれば出てくるけれど
何故そういうニュアンスになるんだろう?
そんな風に感じたことはありませんか。
この記事を読んで、そんな疑問を解決して頂ければと思います!
『Something Just Like This』
(サムシング・ジャスト・ライク・ディス)
『Something Just Like This』 (サムシング・ジャスト・ライク・ディス)は
アメリカのEDMデュオ 「ザ・チェインスモーカーズ」(The Chainsmokers) とイギリスのロックバンド「コールドプレイ」 ( Coldplay ) が共同で作った曲です。
2017年2月22日にリリースされ、全英では2位、全米ビルボードホット100では3位のヒットとなりました。
タイトルの『Something Just Like This』は直訳すれば「このようなもの」という意味で、具体的に何を指しているのかは、以下の解説をご覧ください。
この記事では英語の文法を中心に解説します。
歌詞・和訳
Aメロ1 [Verse1]
歌詞
I’ve been reading books of old
The legends and the myths
Achilles and his gold
Hercules and his gifts
Spiderman’s control
And Batman with his fists
And clearly I don’t see myself upon that list
和訳
古い本を読でいたんだ
伝説や神話のね
アキレスとその黄金
ヘラクレスとその天賦の才
スパイダーマンのコントロールと
バッドマンの拳
そして、そこに僕がいないのは確かだ
Bメロ [Pre Chorus]
歌詞
But she said,
Where’d you wanna go?
How much you wanna risk?
I’m not looking for somebody
With some superhuman gifts
Some superhero
Some fairytale bliss
Just something I can turn to
Somebody I can kiss
和訳
でも彼女は言ったのさ、
「あなたは何処に行きたいの?
どれだけ危険を冒したいの?
私が探しているのは
すごい超人みたいな才能を持った人や
何かのスーパーヒーローや、
すてきな御伽噺のような幸せなんかじゃない
ただ、私が頼れることや
キスすることができる人なの」
ブリッジ [Bridge]
歌詞
I want something just like this
Doo-doo-doo, doo-doo-doo
Doo-doo-doo, doo-doo
Doo-doo-doo, doo-doo-doo
Oh, I want something just like this
Doo-doo-doo, doo-doo-doo
Doo-doo-doo, doo-doo
Doo-doo-doo, doo-doo-doo
和訳
ただ そういうものを求めている
そう、ただ そういうものを求めている
サビ [Chorus]
歌詞
Oh, I want something just like this
I want something just like this
和訳
そう、ただ そういうものを求めている
ただ そういうものを求めている
Aメロ2 [Verse2]
歌詞
I’ve been reading books of old
The legends and the myths
The testaments they told
The moon and its eclipse
And Superman unrolls
A suit before he lifts
But I’m not the kind of person that it fits
和訳
古い本を読でいたんだ
伝説や神話のね
彼らが遺した言葉
月とその満ち欠け
スーパーマンは
飛ぶ前にスーツを脱ぐ
けど、僕はそれが似合うような人間じゃない
[Pre Chorus] >> [Chorus] >> [Bridge] >> [Pre Chorus] >> [Chorus]
上記と同様
歌詞・和訳 ・意味・文法解説
『Something Just Like This』
Aメロ1 [Verse1]
I’ve been reading books of old. The legends and the myths
古い本を読でいたんだ。伝説や神話のね
冒頭の have (‘ve) been reading は、現在完了進行形です。
現在完了進行形は過去に始まった動作が現在まで継続していることを表現しています。
現在完了進行形は、以下の二つの解釈ができます。
① 現在も継続している動作
【例文】
He has been learning to play the piano since he was five years old.
彼は5歳の時からずっとピアノを習っています。
② 少し前に終わった動作 (但し、その余韻がまだ明らかに残っている)
【例文】
I don’t feel like going out now. I’ve been working all day.
今は外出したくないです。一日中、仕事をしていたんです。
この歌詞に当てはめると、
上記①ならば「今でも読み続け、これからも伝説や神話を読み続けていく」
上記②ならば「少し前に伝説や神話を読み終えた (但し、その余韻がまだ残っている) 」
という捉え方ができます。
①と②の、どちらにも解釈できますが
①ならば、こからも伝説や神話を読んでヒーロー達に憧れ続ける
②ならば、余韻はあるけれど一旦 ヒーロー達の物語を読むことには一区切りがついた
と想像を広げることがきると思います。
上記の和訳では、②の解釈で「古い本を読でいたんだ」と訳出しています。
books of old:
「古い本」という意味ですが、普通なら of は使わずにold books なると思います。
この曲では「books of old」、「his gold」、「control」で 韻を踏むために books of old としているようです。
legend:伝説
myth:神話
Achilles and his gold, Hercules and his gifts
アキレスとその黄金、ヘラクレスとその天賦の才
Achilles :アキレス
ギリシャ神話に登場する不死身の英雄です。
発音記号は「əkíliːz」で、カタカナ書くなら「アキリーズ」です。
and his gold と 「黄金」(gold) と結びつけられていますが、神話のなかでアキレスと黄金はあまり関連はないようです。
おそらく 上記の old と同じように韻を踏むために、gold という言葉を当て込んだのかと思われます。gold には「(金のように) 高貴なもの」という意味もありアキレスという英雄にふさわしかったのでしょう。
ギリシャ神話で不死身のアキレスは、かかと ( heel ) を射抜かれて倒されます。これが 「アキレス腱」の由来で、また「強者がもつ弱点」という比喩にもなります。
Achilles tendon:アキレス腱
Achilles heel:アキレスのかかと、弁慶の泣き所、急所
Hercules :ヘラクレス
こちらもギリシャ神話の英雄で「最大の英雄」として知られ、「12の試練」などで有名です。
発音記号は「hə́ːrkjuliːz」で、カタカナ書くなら「ハーキュリーズ」です。
全能の神ゼウスの息子で、怪力の持ち主のヘラクレスが「天賦の才」(gift) に恵まれていたことは説明不要でしょう。
gift:(神から与えられた)才能、贈り物
Spiderman’s control, and Batman with his fists
スパイダーマンのコントロールと、バッドマンの拳
control は、そのままコントロール、制御、といった意味ですが、おそらくは、スパイダーマンが繰り出す糸を制御するということを表現しているのでしょう。バッドマンと一緒に意訳すれば
『 自在に糸を操るスパイダーマン と、バッドマンの正義の拳』
といった感じと思います。
fist:拳、握り拳
And clearly I don’t see myself upon that list
そして、そこに僕がいないのは確かだ
直訳すれば
『そして、明らかに僕はそのリストに載っている僕自身が見当たらない』
です。
that list (そのリスト) はもちろん伝説や神話に名を連ねる英雄たちを指しています。
myself :私自身
これは再帰代名詞の一種 (一人称単数) で、ここでは再帰用法という使い方です。
このフレーズのように動詞 (see) の主語 (I) とその目的語 (myself) が同じ人間 (「僕」) という場合に、同一人物だとはっきりと示すために再帰代名詞が用いられます。
主語の対象が再び帰ってきて用いられるから、再帰 (用法) というわけです。
この歌詞のように主語が I ならば再帰代名詞 myself を仮に me に置き換えても (※) 、I と me は同一人物であって別人と誤解されることはないかもしれませんが、次のような場合には主語と目的語は別人と見なされます。 ※ 通常は me とは言いません。
【例文】
He sent the letter to him.
彼は、(主語の"彼"とは別人の) 彼に手紙を出した
再帰代名詞に置き換えれば「自分に宛てた手紙を出す」という意味になるので注意しましょう。
【例文】
He sent the letter to himself.
彼は、自分に宛てに手紙を出した
Bメロ [Pre Chorus]
But she said, "Where’d you wanna go?" "How much you wanna risk?"
でも彼女は言ったのさ、「あなたは何処に行きたいの?」 「どれだけ危険を冒したいの?」
she said 以降は"she"(彼女) が言ったことを、そのまま引用する直接話法になっていて、
引用された部分での"you"(あなた) は、"I" (僕) のことを指している
と考えるのが文脈から自然でしょう。
where’d:= where would 、 where did 、where had
wanna: = want to
上記のように would , did , had を省略して"’d"としたのが、Where’d です。ここでは had は文法上不可ですが、"’d"は、would と did どちらでも意味はとおると思います。
(上記の和訳では would のほうで訳しています)
Where would you want to go?
あなたは何処に行きたいの?
Where did you want to go?
あなたは何処に行きたかったの?
"I’m not looking for somebody with some superhuman gifts, some superhero, some fairytale bliss"
「私が探しているのはすごい超人みたいな才能を持った人や、何かのスーパーヒーロー、すてきな御伽噺のような幸せなんかじゃない」
look for : … を探す
superhuman:超人的な、神わざの
fairytale: おとぎ話のような、夢のような
bliss:至福、無上の喜び
some : いくつかの、いくらかの、ある
このあたりから some が歌詞のなかに登場しだします。多くの場合、あとにくる名詞で some は以下 A~C のような意味になります。
A. some + 可算名詞の複数形:「いくつかの ~」
ここの歌詞に当てはめれば
some superhuman gifts
いくつかの超人みたいな才能
B. some + 可算名詞の単数形:「ある ~、何かの~」
ここの歌詞に当てはめれば
some superhero
ある (何かの) スーパーヒーロー
※ 『 何人かのスーパーヒーロー (✕) 』ではないです。
C. some + 不可算名詞:「いくらかの~」
ここの歌詞に当てはめれば
some fairytale bliss
いくらかの御伽噺のような幸せ
※ bliss は不可算名詞です。
但し、some には上記 A~C 以外にも次のような強調表現があって様々な解釈ができます。
D. たいした、すてきな、すごい、相当な
【例】
It was some party last night!
昨夜はすばらしいパーティーだったね
E. (皮肉で) たいした、ひどい、とんでもない
【例】
Some friend you are!
君はたいした友人だね (ひどい友人だね)
とくに"some superhuman gifts" と "some fairytale bliss" は、上記の A. C. ではなくて、D. のうほうが文脈に合うと思います。( 少し皮肉をこめて E. かもしれませんね )
some superhuman gifts
すごい超人みたいな才能
some fairytale bliss
すてきな御伽噺のような幸せ
"Just something I can turn to, somebody I can kiss"
「ただ、私が頼れることや、キスすることができる人なの」
turn to: … に頼る
このフレーズでは、 "Just xxx I can …" ( ただ単に私が … できる xxx ) と言うことで、前に出てきたsuperhuman gifts, superhero, fairytale bliss と対比しています。
このフレーズの冒頭には"I’m looking for"が省略されています。
( I’m looking for ) Just something I can turn to, somebody I can kiss
ブリッジ [Bridge]
I want something just like this
ただ そういうものを求めている
この曲のタイトルにもなっているフレーズです。
just like … : …と同様に、… のように
さて、ここで2つの疑問がわきます。
1つ目は、これは誰の口から発せられた言葉なのか?
( 男性? 女性?)
2つ目は、"just like …" とは何と同様なのか?
( 伝説・英雄? 女性が探しているもの?)
それぞれに分けて考えてみましょう。
a. 男性の言葉で、伝説・英雄と同様、とした場合
I want something just like this
僕は伝説や英雄みたいな凄いことを求めているんだ
※something には「何か、あるもの」以外に「すごいこと (人)、重要なもの (人) 」という意味もあります。
※ 代名詞"this" にはすでに出た文の内容を指すことができます。
しかし、代名詞"this"だけでなく、"that"でもすでに出た文の内容を指すことはできますが、ここでは心理的な距離感の近い表現で"this"が使われ、一方、Aメロ1では、伝説や神話に名を連ねる英雄たちを指して『 that list 』と表現していることからも、上記の訳のように本気で男性がメッセージを発していると考えるには違和感があります。
"女性"が求めることを妥当だと感じながらも、夢は捨てきれない"男性"という感じでしょうか。
b. 女性の言葉で、伝説・英雄と同様、とした場合
(✕)
I want something just like this
私は伝説や英雄みたいな凄いことを求めてるの
これはBメロの歌詞と矛盾するので不適ですね。
c. 男性の言葉で、女性が探しているものと同様、とした場合
I want something just like this
僕も彼女が探しているようなことを求めているんだ
d. 女性の言葉で、女性が探しているものと同様、とした場合
I want something just like this
私はそういう (私が探しているような) ことを求めているの
歌詞の流れからも、上記の4つの a. ~d. の解釈で自然に感じるものを左から並べると
d. ← c. ← a. ← b.
のように思います。
Aメロ2 [Verse2]
The testaments they told. The moon and its eclipse
彼らが遺した言葉。月とその満ち欠け
testament:遺言、証し、聖書
eclipse: 月食、日食、(名誉・名声の)失墜
ここで唐突に moon (月) と eclipse (食) が出てきますが、英雄たちの栄光は不変ではなく、その輝きが失われることがあるというメッセージかと思われます。
And Superman unrolls a suit before he lifts
スーパーマンは飛ぶ前にスーツを脱ぐ
unrolls:(巻かれているものを) 広げる、明らかにする
"unrolls a suit" は、スーパーマンがビジネススーツを颯爽と脱ぎ捨てることを表現していると思います。
普段、スーパーマンの身体を覆っている (巻かれている) ビジネススーツを広げるから "unroll"という言葉を使っているのでしょう。(あと韻を踏むためですね)
PVの1:33のあたりの描写も参考にしてみると分かりやすいと思います。
また"he lifts"は彼自身が持ち上がる (lift) 、つまり「飛び立つ」ということと考えられます。
英語学習のおすすめ書籍
『Something Just Like This』の歌詞を英語学習を兼ねて、解説してきましたが、いかがでしたでしょう。
最後に、よく聞かれるので、筆者が英語学習にこれまで特によく使ったおすすめ書籍をご紹介します。
どれも定番です。
この記事のような解説を書く際にも参照することがあります。
まず英文法の基礎はこちら。
昔はフォレストという名前でしたが、いつの間にか名前が変わっていましたね。
さらに詳細な英文法書。
以上です。
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