作品概要
スタジオジブリの名作アニメ。魔女見習のキキが見知らぬ街で修行を行う、少女の成長物語です。原作は角野栄子の小説ですが、アニメ版では内容はかなり変更されているようです。舞台となる街はヨーロッパの風景がもとになっており、英語にも合います。日本語と英語のセリフでは違いもありますので、関心を持たれた方は、英語吹替も観てみてはいかがでしょう。
北米版は、字幕とセリフが一致しており英語学習にも向いています。ご参考まで、筆者は下記リンクのものを購入して、この記事を作成しています。
見習い魔女の女の子が出会いや別れ、挫折などを乗り越えて成長していく姿を描いた、宮崎駿監督が贈る名作アニメがBlu-ray化!魔女の子は13歳になると一人前の魔女になるために1年間の修行に出なければならず、13歳の少女キキもまた、黒猫を連れて父母のもとを旅立つ。海辺の町を修行の場に選んだキキは、親切なパン屋のおかみさんのおかげで、ホウキで空を飛ぶ能力を使って荷物配達の仕事を始める。
出典:Amazon
※Blu-rayは国内ブルーレイデッキで日本盤ブルーレイと同じように視聴可。DVDはリージョンコード(DVD地域規格)が【1】となり、リージョンコードフリーのDVDデッキなど対応機種が必要です。
基本情報
日本映画 1989年公開 (102分)
英題:Kiki’s Delivery Service
舞台:海辺の町 コリコ (架空の町)
出演:
役名 | 声優 (日本) | 声優 (英語) |
---|---|---|
キキ Kiki | 高山みなみ | キルスティン・ダンスト Kirsten Dunst |
ウルスラ Ursula | 高山みなみ | ジャニーン・ガラファロ Janeane Garofalo |
ほか
※英語版はディズニー版とストリームライン版の2種類の吹替が存在しますが、この記事ではディズニー版を扱っています。
語彙の傾向
- Main:魔法、ビジネス、運送業 関連
- Sub:家族、恋愛、動物、子供、絵画 関連
英語表現等
絵描きの助言
1:24:36 ~ 1:29:08
魔法の力を失ったキキが、絵描き(ウルスラ)に森の小屋へ招かれて助言をもらう場面です。
日本語の英語のセリフとでは、違ったニュアンスの部分も多くあります。
Ursula : I really haven’t got the face right.
⇒ ウルスラ『この顔がうまくいかないのよね(描けないのよね)』
日本語のセリフでは
ウルスラ「この子が決まらないのよね」
です。英語では「顔 (face) 」となっていますが、ここは大体同じ意味ですね。
get … right: … をきちんと整える、… を正しく行う
Repeat until you get it right.
きちんとできるまで、繰り返しなさい。
Kiki : Without even thinking about it, I used to be able to fly. Now I’m trying to look inside myself to find out how I did it. But I just can’t figure it out.
⇒ キキ『わたし前は何も考えなくても飛べたの。今は、自分の中をのぞき込んで、以前にそれをどうやっていたか見つけ出そうとしてるけど、わからないの』
ここでは日本語のセリフは
キキ「わたし前は何も考えなくても飛べたの。でも、今はどうやって飛べたのかわからなくなっちゃった」
です。英語版の方が具体的になっていますね。これは内容を意図的に変更したというよりも、日本語と英語の発音の違いも大きいかもしれません。
音声の場合は、発音の仕組み上、英語の方が日本語より情報を詰め込めます。また、文字の場合には、日本語には漢字があるためその逆となります。
without doing … : … しないで
付帯状況を表す without です。 without + ~ing になります。なお、without ではなく with の場合は直後は ~ing とはならずに、目的語と補語をとります。(with O C)
I can’t sleep with you standing there.
あなたがそに立っていると、眠ることができません
used to:以前は … したものだった
used to は、過去と現在を比較して今では成り立たなくなった過去の事実を述べるときに使います。
find out:見つけ出す、発見する
figure out:把握する、考え出す、見つけ出す
find out、 figure out、どちらも似た言葉ですが、
find out は 「情報を得る」ことに重点があり、
figure out は 考えて答えを見つける という「考える」ことに重点があります。
Ursula : You know, it could be you’re working at it too hard.
⇒ ウルスラ『それは、無理に考え過ぎなのかもしれないね。』
元の日本語のセリフは
ウルスラ「そういう時はジタバタするしかないよ」
となっていて、意味がまったく逆です。この違いはそれぞれのお国柄なのでしょうか? (笑)
it could be (that): … ということが有り得る
be のあとに接続詞の that が省略されています。
Ursula : And then one day, for some reason, I just couldn’t paint anymore.
⇒ ウルスラ『そしてある日、なぜか何も描けなくなったんだ』
絵描き ウルスラが、キキと同じように以前に絵を描けなくなったことあると、自分の体験をキキに教える場面です。
for some reason:なぜか、どういう訳か
some reason を直訳すれば、「いくつかの理由」ですが、なぜか理由はわかならいけど、何らかの理由で、という場合に使う表現です。reason が複数ではなく単数 (末尾に s がつかない) であることにも注意。
Ursula : You see, I hadn’t figured out what or why I wanted to paint. I had to discover my own style.
⇒ ウルスラ『何を描きたいか? とか なぜ描きたいのか? ではなくて、私自身のスタイルを見つけなきゃいけなかったんだ』
このあたりも、日本語のセリフの内容と若干食い違いがありますが、英語版でも大筋の意味は同じようです。
discover:見出す、発見する
discover は今まで未知だったものを新たに見つける、という意味です。ですので、なくした物を見つける、といった場合には discover ではなく find を使います。
Ursula : When you fly, you rely on what’s inside of you, don’t you?
Kiki : Uh-huh. We fly with our spirit.
⇒ ウルスラ『キキが飛ぶときは、自分の中にある何かを拠り所とするんでしょ?』
キキ『ええと、魔女はその魂で飛ぶの』
ここでの日本語のセリフは
ウルスラ「魔法ってさ、呪文を唱えるんじゃないんだね?」
キキ「うん。血で飛ぶんだって」
となっています。
日本語では「血」ですが、英語では「spirit」です。
ちなみにフランス語の字幕では日本語と同じく「血 (sang)」となっていました。
ジブリ作品では、他に ”千と千尋の神隠し” の英題は ”Spirited Away” ですし、あちこちで spirit という英単語が使われているようです。
ここでも spirit が使われているようですが、大分 日本語のニュアンスとは違いますね。
rely on:… を頼りにする、信頼する
spirit:魂、精神
このように日本語と英語で違いのある所もあるので、興味のある方は、是非確かめてみてください。
以上です。
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