作品概要
雪や氷を操る魔法の力を持った姉エルサと、明るく芯の強さを持った妹アナ。二人の姉妹の絆を描いたディズニー映画。アンデルセンの童話『雪の女王』を元にして作られたようですが、話の内容は大きく変更されてます。本作は二人の姉妹の成長が語られ、劇中歌『Let it go』のシーンではエルサの内面の変化がダイナミックに描かれます。国内でも大ヒットした映画ですが、英語で観ると違った側面が多く見つけることができるので、興味のある方は確認してみるのも良いかもしれません。
王家の姉妹エルサとアナ。姉エルサは、自分の“禁断の力”を制御できずに王国を冬にしてしまう。凍りついた世界と姉を救うため、妹アナは山男のクリストフや“心温かい雪だるま”のオラフと共に、エルサの後を追って雪山へ向かうが…。圧巻の歌と映像で〈真実の愛〉を描いた感動の物語。
出典:Amazon
基本情報
アメリカ映画 2013年公開 (102分)
原題:Frozen
舞台:アレンデール王国 (架空の国)
出演:
役名 | 声優 |
---|---|
アナ Anna | クリステン・ベル Kristen Bell |
エルサ Elsa | イディナ・メンゼル Idina Menzel |
ほか
語彙の傾向
- Main:家族、恋愛、気象、魔法、王家 関連
- Sub:子供、政治、上流階級、超自然、伝説生物 関連
英語表現等
氷の城 … Let It Go
0:31:07 ~ 0:34:45
有名な劇中歌「Let It Go」の場面での抜粋です。人前で魔法を暴発し化け物と呼ばれ、逃げ出したエルサがこの歌をうたいながらノースマウンテンに魔法で氷の城を建てるシーンです。
Elsa : The snow glows white on the mountain tonight.
⇒ 『今夜は山の雪が白く輝いている』
glow: (柔らかく) 輝く
glow は蛍の光のように柔らかく輝くイメージです。ここではエルザがやってきた山で、雪がうっすらと輝いていることを表現しています。
輝くという意味では、glare (眩しく光る)、glitter (キラキラ輝く)、gloss (光沢) などがあります。
Elsa : Not a footprint to be seen.
⇒ 『足跡ひとつ見えない』
Not … to be seen: 見当たらない
ここでは be動詞 が省略されていると思われます。
be to は可能の不定詞。可能を表す場合は、否定の内容の文で、続く動詞は通常、受動態になります。
例文:
Not one was to be seen.
ひとつも見当たらなかった。
Not a sound was to be heard.
物音ひとつ聞こえなかった。
Elsa : A kingdom of isolation, and it looks like I’m the queen.
⇒ 『孤立した王国。そして、どうやら私はその女王のようだ』
kingdom:王国
isolation:孤立
”A kingdom of isolation” は、アレンデールの国と比較しながら、誰もいない雪山を指した言葉と思われます。自分が女王であるという自意識が垣間見える表現と感じます。
Elsa : The wind is howling like this swirling storm inside. Couldn’t keep it in, Heaven knows I tried.
⇒ 『風がうなる、心の中で渦巻く嵐のように。それを抑えることができなかった、でも天だけは私が努力したことを知っている』
howling:うなる、ほえる
swirling:渦を巻く、グルグル回る
”swirling storm inside” はエルサが今まで表に出さないように抑えてきた魔法の力を指しているのでしょう。
keep in:抑える、閉じ込める
”Couldn’t keep it in” の Couldn’t の前には I が省略されています。
英語では明瞭な主語は省略されることがあり、歌の歌詞でもよく省略されることがあります。
Heaven knows:神のみぞ知る、誰も知らない、確かに…だ
”Heaven knows I tried.” のくだりでは エルサが魔法の力を抑えようと努力したことを、他の誰も理解してくれいない、という不満が表れているともとれます。
Elsa : Don’t let them in. Don’t let them see. Be the good girl. You always have to be. Conceal, don’t feel. Don’t let them know. Well, now they know.
⇒ 『誰も中に入れてはいけない。誰にも見られてはいけない。いつも良い子でいなさい。隠して、感情を出してはダメ。誰にも知られていはいけないの。でも、もうみんな知ってしまったわ』
ここでは、them, they はエルサ自身と両親を除く周囲の人たちを指しています。
Conceal:隠す、秘密にする
now:
この now は単に「今」というだけでなく、接続詞にもなって「今や … であるからには」、「もう … なので」といった意味にもなります。
”もうみんな知ってしまったからには”、ならば ”Let it go” でいいや、という流れで歌のサビへとつながっていきます。
Elsa : Let it go! Let it go! Can’t hold it back anymore.
⇒ 『どうでもいい。解き放ってしまえ。もう抑えることはできない』
hold back:抑える、隠す
Let it go:放っておけ、諦めろ、どうでもいい
Let は使役動詞で 「… させる、… を許す」という意味ですので。直訳すれば
「それが行くことを許す」
です。it が何を指すと捉えれるかで色々な意味にもなると思います。そのまま it はエルサの魔法の力を指すと考えれば、今まで抑えてきた力を自由にしてやれ、といった意味合いになります。もっと広く漠然とエルサの心の中で抑えられた感情そのものが it だとすれば、また違った見方にもなるでしょう。
日本語の歌詞「ありのまま」とは、ニュアンスが違います。
「ありのまま」ならば肯定的でどこか達観て落ち着いた感じがしますが、Let it go は上記のように「放っておけ」、「どうでもいい」といったネガティブな部分があります。
これは個人の感想ですが、この劇中歌のシーンは今まで真面目だった子供がある日突然、不良になってしまうようなもののように思えます。
Elsa : Turn away and slam the door.
⇒ 『背を向けて、そのドアを閉じてしまえ』
turn away:背ける
slam:バタンと閉まる
the door:
この door には定冠詞がついて 「その」door と限定されています。この the は何を指しているのでしょう? 日本語の字幕では「過去のドア」となっていますが、その他にも色々と解釈はできるように思えます。
例えば、歌詞中にある A kingdom of isolation (孤立した王国) に通じるドアともとれるかもしれません。
そもそもドアがあるということは、そこに境界や壁があるということだと思います。エルサは Let it go (どうでもいい) と言いながら、実は「どうでもいい」事ができるのには限度があるとわかっているのかも知れません。そして、だから逃げ出した先の雪山に引きこもったのでしょう。
Elsa : Let the storm rage on. The cold never bothered me anyway.
⇒ 『嵐よ、荒れ狂るえばいい。どうせ寒さで悩んだことなんてないもの』
rage on:荒れ狂う
rage は 激怒する という意味ですが、このように嵐や病気が猛威をふるう、といった意味にもなります。
bother: 悩ませる、困らせる、邪魔をする
以上です。
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