作品概要
期せずして過去に遡りタイムスリップしてしまった平凡な高校生の主人公マーティが何とか現代に戻ろうと奮闘する、言わずと知れた名作SF映画。公開から既に約35年を過ぎた今でも世代を超えてファンから愛されている本作、続編としてPARTⅡ、PARTⅢがありますが、このPARTⅠでは、1985年から1955年の過去へのタイムトラベル。アメリカン・カルチャーの移り変わりがタイムトラベルのギャップを通して描かれます。30年以上前の作品のため映像はさすがにレトロ感がありますが、巧みな伏線を交えながらの筋立ては今観ても素晴らしいです。
1985年10月25日、ブラウン博士は手伝いの高校生マーティを、深夜の秘密実験に呼び出した。博士は愛車のデロリアンをタイムマシンに改造していたのだ。かくてマーティは30年前へと旅立った…。
出典:Amazon
基本情報
アメリカ映画 1985年公開 (116分)
原題:Back to the Future
舞台:1955年 / 1985年 アメリカ合衆国 カリフォルニア州
出演:
マイケル・J・フォックス (マーティ・マクフライ)
クリストファー・ロイド (エメット・ブラウン博士(ドク))
ほか
語彙の傾向
- Main:学生生活、恋愛、電気工学 関連
- Sub:家族、夫婦関係、物理学、機械、原子力 関連
英語表現等
過去のドクとの出会い
0:48:15 ~ 0:55:49
過去にタイムスリップした主人公が、将来タイムマシンの発明することになる過去のドクと出会うシーンです。
将来の免許証や写真を見せて、なんとかドクに状況を把握してもらおうと説明するところからです。
Marty : Look at my driver’s license. Expires 1987. Look at my birthday. I haven’t even been born yet.
⇒ 『運転免許証を見てくれよ。期限は1987年。誕生日を見てよ、まだ僕は生まれてもいないだろ』
expire:期限が切れる
このexpiresの前後では、It、on、が省略されていると思わます。
英語字幕では上記ですが、次の下線部が実際のセリフでは加わっています。
“Look at my birthday for crying out loud.”
⇒ 『頼むから誕生日を見てくれよ』
for crying out loud:お願いだから、頼むから
直訳すれば「大きな声で泣き叫ぶために」ですが、イライラして辛抱できない、相手にもう何とかしてほしい、という時に使います。
Doc : Pretty mediocre photographic fakery.
⇒ 『どこにであるようなインチキ写真じゃないか』
マーティと兄妹の写真をみたときのドクのセリフ。このとき過去が改変されてマーティの兄さんが、写真の中で頭の方から消えはじめていたんですね。
mediocre:平凡な、二流の
fakery:いんちき
Doc : I’ve had enough practical jokes for one evening.
⇒ 『もう冗談は十分だ』
未来からやってきたマーティが急にやってきて、常識外れなことをまくしたてるのでドクは信じられずに質のわるい悪ふざけだと思ってはなったセリフ。
practical joke:(言葉だけでなく行動を伴った) ジョーク、悪ふざけ
for one evening は一晩に聞く冗談としてはもうたくさん(enough)だということでしょう。
Marty : That’s when you came up with the idea for the flux capacitor, which is what makes time travel possible.
⇒ 『その時にドク(あなた)はフラックスキャパシターのアイデアを思いついたんだ。タイムトラベルを可能にするアイデアをさ』
come up with:(アイデアなどを) 思いつく
flux capacitor:
字幕、吹替の訳では「次元転移装置」ですが、それぞれ英単語はflux (流れ・流動)、capacitor (コンデンサ・蓄電器) で、そのまま訳せば流動コンデンサ(?)です。この作品上の造語と思われます。
デロリアン(タイムマシン)が時速88マイルに到達すると、その機能を発揮するようで電力には1.21″ジゴ”ワットを必要とするそうです…。
Marty : You bet your ass it works.
⇒ 『もちろん、ちゃんと動くさ』
ドクの考案したタイムマシン(flux capacitor)が未来で実現し、機能していることに、マーティが同意するときのセリフです。
You bet your ass:その通り、もちろんそうだ
相手の言葉を肯定して、強く賛成する、という場合の表現です。
直訳すれば「あなたは自分のお尻を賭ける」 相当の確信がなければお尻は賭けられません。そういうことです。
Doc : No, no, no, no, this sucker‘s electrical, but I need a nuclear reaction to generate the 1.21 gigawatts of electricity.
⇒ 『違う、違う、こいつは電気で動くんだ。1.21ギガワットの電力をつくる核反応が必要だ』
sucker:(物を指して) こいつ
他に「騙されやすい人」という意味にもなります。suck (吸う) から派生して何でも信じてしまうという意味に転じています。
nuclear reaction:核反応
gigawatt:ギガワット
劇中では「ジゴワット」と発音されています。
勿論、ギガワットは、10億倍の大きさを意味するギガと、電力の単位(ワット) とが組み合わさったもので、ギガはITが普及した現在では、さほど珍しくない言葉と思います。しかし、この映画公開当時はそうではなく、製作段階で有識者が発音した「ジゴワット」をそのまま綴って台詞なってしまったそうです。
さらにSF映画ということで、「ジゴワット」を作中独自の架空の単位として解釈する場合もあるようです。
Doc : Great Scott!
Great Scott:なんたることだ!
ドクが何回もいう言葉です。古い言葉で、南北戦争の将軍に由来するようですが、今ではあまり使われない表現のようです。詳しくはこちらをどうぞ。

顔芸ともいえる表情で作中の各所で登場する言葉なので耳に残りますよね。
以上です。
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