作品概要
ひと夏の小さな冒険を通して、もう少しで中学生になる少年4人の心模様を描いた物語。行方不明の少年の死体を探しに行くという非日常を12歳の少年達の視点で振返り切り取った映画です。幼い頃に友達と遊び、家族と過ごし、平凡でも何故か新しい発見にワクワクして、そして苦悩していた小さな黄金時代。そんなきっと誰しも経験したことのある原風景を思い出させてくれます。
青春映画の金字塔と言われる本作、是非ご覧あれ!
12才の夏、誰も大人になんかなりたくなかった・・・。1959年オレゴンの小さな町。文学少年ゴーディをはじめとする12才の仲良し4人組は、行方不明になった少年が列車に轢かれて野ざらしになっているという情報を手にする。死体を発見すれば一躍ヒーローになれる! 4人は不安と興奮を胸に未知への旅に出る。たった2日間のこの冒険が、少年たちの心に忘れえぬ思い出を残した・・・・・・。
出典:Amazon
基本情報
アメリカ映画 1986年公開 (89分)
原題:Stand by Me
舞台:アメリカ合衆国 オレゴン州
出演:
ウィル・ウィートン (ゴーディ・ラチャンス)
リチャード・ドレイファス (ゴーディ(大人)・ナレーション)
リヴァー・フェニックス (クリス・チェンバーズ)
コリー・フェルドマン (テディ・ドチャンプ)
ジェリー・オコンネル (バーン・テシオ)
キーファー・サザーランド (エース・メリル)
ほか
主題歌:Stand By Me
アメリカ で1961年にリリースされたベン・E・キングの曲。この曲を聴けば映画のシーンを一緒に思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。映画は1986年に公開ですから、先にこの曲があり、その曲名が映画のタイトルに使われたそうです。
主題歌『Stand By Me』は、本ブログの英語学習の記事でも扱っているので興味のある方はご覧ください。
語彙の傾向
- Main:子供、家族 関連
- Sub:暴力、子育て、差別、学生生活 関連
英語表現等
クリスの告白
0:56:30 ~ 0:59:22
夜に窃盗事件の顛末をクリスが、ゴーディに告白するシーンです。
Gordie : Maybe you could go into the college courses with me.
Chris : That’ll be the day
⇒ 『多分、君も進学コースに行けるよ』 『あり得ないね』
夜に見張りをするクリスに、夢から覚めたゴーディが話しかける場面。
college course:進学コース (大学に入ってからの教育課程、という意味もあります)
逆に就職コースは次の言葉です。
vocational course:就職コース、職業教育コース (vocational:職業の、職業教育の)
大学 ⇒ university / college
短大 ⇒ junior college
専門学校 ⇒ vocational school / technical school
That’ll be the day:そんなことあり得ない、まさか
直訳すれば「それはその日になる」で、このままでは意味不明ですが、
「そんなことが起きたら (that)、特別な (the) 日 (day) になる (will be) 」
ということです。つまり
「そんなことが起きたら、そりゃスゲー日になるな!(でも、現実には起こりっこないけどな!)」
という含みのある皮肉めいた表現です。
ここでは、もちろん that は直前のゴーディの発言「you could go into the college courses (進学コースに行ける) 」を指しています。
皮肉と相まって、進学コースに行くことが現実になること (will be the day) への、クリスの願いも感じられる一言です。
Chris : No one asked me if I took the milk money. I just got a three-day vacation.
ここの前段の文は英語字幕では上記ですが、実際には以下の下線部も話されています。
”Chris : No one asked me even if I took the milk money that time.”
three-day vacation:
「3日間の休日」という意味ですが、ここでは文脈から vacation = 停学 と表現されています。
⇒ 『 あのとき、誰も俺にミルク代を盗ったかどうかさえ聞かなかった。いきなり3日間の停学になったんだ。』
弁解の余地もなく、決めつけられれば、子供でなくとも堪えますよね…。
Chris : Maybe I took it to old lady Simons, and the money was all there. But I still got a three-day vacation. And maybe the next week, old lady Simons had this brand-new suit on.
ミルク代の盗難事件の顛末を、クリスが Maybe (たぶん) という言葉を何回も使って、実際に起こったことを遠回しに説明しているセリフの一部です。
ここでも発音された言葉と比較すると、次の下線の部分が上記の英文字幕では抜けています。
”Chris : Maybe I took it to old lady Simons, and told her, and the money was all there. But I still got a three-day vacation. Because they never showed up. And maybe the next week, old lady Simons had this brand-new suit on when she came to school.”
Chris : I stole the milk money, but old lady Simons stole it back. Suppose that I told the story. Me, kid brother to Eyeball Chambers. Would anyone believed it?
ミルク事件の裏話をするクリス。
感情が乗ってどんどん早口になっていきます。
こちらの字幕も同じく、次の下線部で違いがあるようです。
(早口のためちょっと聞き取り自信ないところもあります)
”Chris : Yeah, so let’s just say that I stole the milk money, but old lady Simons stole it back from me. Just suppose that I told the story. Me, Chris Chambers, kid brother to Eyeball Chambers. Do you think that anyone would have believed it?”
⇒ 『ああ、だからさ、例えば、俺はミルク代を盗んだけど、でもサイモン先生はそれを俺から盗み返したんだって考えてみてくれよ。その話を俺がしたらどうだろう。”アイボール”・チェンバーズの弟の俺、クリス・チェンバーズだぞ。いったい誰が信じると思う?』
let’s just say that …:
①とりあえず … とだけ言っておくよ
②例えば … だとしてみよう
①の意味の場合、「 (詳細については省いて) とりあえず that以下のことは言っておくよ」、といったニュアンス。that以下には、話し手が事実として言及する事柄が続く。
②の意味の場合、「例えば that以下だと仮定してみよう」、というニュアンス。that以下には、話し手が仮定として言及する事柄が続く。
①の意味で使用されることのほうが多いと思いますが、この場面ではmaybeを多用して、敢えて事実をあたかも仮定の話としている文脈から考えて、上記②の意味でクリスは「let’s just say that …」を使用していると思います。
なお、just を抜かした場合には、上記②の意味になり、①にはなりませんので注意しましょう。
let’s say … :例えば … だとしてみよう
Let’s say that I have a lot of money.
仮に私が大金を持っているとしましょう。
Let’s just say that I have a lot of money.
私は大金を持っているとだけ言っておきましょう。 (上記①)
Chris : Would that bitch have tried that if someone from the view had taken the money?
こちらの字幕も同じく、次の下線部で違いありです。以下が実際の音声でのセリフ。
(早口のためちょっと聞き取り自信ないところもあります)
”Chris : And do you think that that bitch would have dared try something like that if it had been one of those douche bags from up on the view, if they had taken the money?”
⇒ 『もし金を盗んだのが、丘の上の高級住宅街に住んでいる金持ちのボンボンならば、あのくそばばあはこんなことをしたと思うか?』
bitch:嫌な女、くそばばあ
dare:あえて … する、… する勇気がある
douche bag:嫌な奴、うざい奴、ビデ
from up on the view:
お金持ち・裕福な、といった意味合いのクリス独特の表現かと思われます。
※ 「美しい見晴らし (the view) の丘の上 (up on) のような場所の出身 (from) 」 ⇒ お金持ちの
Chris : I’m sure she had her eye on that skirt for a long time.
⇒ 『きっと先生はあのスカートがずっと欲しかったんだ』
have one’s eye on … : … に目をつける、…を手に入れようとしている
Chris : Who gives a fuck anyway! I just wish that I could go someplace where nobody knows me.
⇒ 『もうどうでもいいさ! ただ、誰も俺のことを知らない場所に行きたいよ』
Who gives a fuck?:知るか! (スラング)
※ give a fuck で 「気にする」、「興味がある」という意味で通例、否定文あるいは疑問文で使用する。
wish:願う、望む
wishに続く節の内容は、実現の可能性の低い願望を表します。ここでクリスは自分のことを誰も知らないところへ行きたいと願っていますが、そうなる可能性は低いということが分かっています。
この映画の他のセリフにもありますが、子供の頃はその小さな世界が自分にとっての全てです。クリスのこの諦めとも言える気持ちは誰しも一度は抱いたことがあるのではないでしょうか。
以上です。
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